残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約(POPs条約)に関し、2017年10月17日~20日にかけて、同条約による規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第13回会合がイタリアのローマで開催された。
COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになる。日本では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」等によって規制される。
1.条約対象物質への追加
物質名 | 主な用途 | 決定事項 |
ジコホル | 殺虫剤※ | リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」又は「制限」)について検討し、特定の用途についての適用除外を設けず、廃絶対象物質(附属書A)へ追加することについて、締約国会議に勧告することが決定された。 |
※日本においては、既にジコホルを化審法の第一種特定化学物質に指定し、その製造及び使用を禁止している。また、農薬取締法においては、販売禁止農薬に指定している。
2.条約対象物質としての検討
物質名 | 主な用途 | 決定事項 |
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質 | フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等 | リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」又は「制限」、並びに「意図的でない生成」)について検討し、特定の用途についての適用除外項目、POPs条約上の位置付け及びPFOA関連物質の対象範囲について、今後更なる情報を収集し、次回会合(POPRC14)まで議論を重ねることとなった。特に、PFOA関連物質については、日本から、規制措置を行う上で対象物質を特定すべきであるとの意見を述べ、今後更なる情報収集を行うこととなった。 |
ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質 | フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等 | 提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、PFHxSが附属書Dのスクリーニング基準を満たすとの結論に達し、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定された。 |
3.その他の検討
ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びその塩並びにペルフルオロオクタンスルホン酸フルオリド(PFOSF)の代替についての評価
【適用除外の主な用途】半導体用のエッチング剤、レジスト
附属書B(制限)に掲載されているPFOS(界面活性剤)については、いくつかの用途に対して適用除外が条約上で認められており、これらの適用除外が引き続き必要であるかを2019年の第9回締約国会議(COP9)において評価することとされている。そのために必要な調査を2017年から2018年にかけて各国に対して実施することが、本年5月に開催された第8回締約国会議(COP8)で決定されたが、そのための具体的な作業内容とスケジュールが今回のPOPRC13で決定された。
4.今後のスケジュール
POPRC14は、2018年9月にローマで、また、POPRC13及びPOPRC14の結果を踏まえた第9回締約国会議(COP9)は、2019年の4月末から5月初めにかけてスイス・ジュネーブで開催される予定。
○経済産業省「ストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会第13回会合(POPRC13)が開催されました」/2017年10月24日
○環境省「残留性有機汚染物質検討委員会第13回会合(POPRC13)の結果について」/2017年10月24日