「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第四条第二項の地域及び特定有害廃棄物等を定める省令の一部を改正する省令案」及び「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第三条の規定に基づく同条第一号から第四号までに掲げる事項の一部を改正する告示案」に対する意見募集(パブリックコメント)

「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」においては、特定有害廃棄物等に該当する使用済鉛蓄電池の輸出に当たっては、法に基づく外為法の輸出承認が必要とされている。

近年、“使用済鉛蓄電池”の輸出が増大しているが、OECD 加盟国に対する輸出に関しては、リサイクル目的での輸出である場合には、法に基づく外為法の輸出承認に際して環境大臣の確認は不要とされている。

一方、平成28年の国連環境総会の決議において、使用済鉛蓄電池の世界的な取組の強化がうたわれている。このため、我が国から輸出された使用済鉛蓄電池の輸出先における適正な処理を確保していく必要があるとされている。
そのような中、平成28年6月、我が国から大量の使用済鉛蓄電池が輸出されている OECD加盟国においてリサイクル業者がヒ素を含む使用済鉛蓄電池のリサイクルに際して生じる残渣を、数年間にわたって不法に処理していたことが発覚した。
このような状況を踏まえ、使用済鉛蓄電池については、輸出先国が OECD 加盟国である場合にも、環境の汚染を防止するために必要な措置が講じられているかどうかを確認することができるようにするため、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第四条第二項の地域及び特定有害廃棄物等を定める省令及び特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第三条の規定に基づく同条第一号から第四号までに掲げる事項の一部を改正する。

なお、平成29年2月にとりまとめられた「中央環境審議会循環型社会部会特定有害廃棄物等の輸出入等の規制の在り方に関する専門委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会有害廃棄物等越境移動ワーキンググループ 合同会議報告書」を受けて、現在、法に基づく制度全体の見直しを進めているところであるが、使用済鉛蓄電池については、上述のような問題が顕在化したことから、同報告書においても、他の見直しに先駆けて暫定的な措置を講ずるべきとされている。

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《改正の内容》
(1) 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第四条第二項の地域及び特定有害廃棄物等を定める省令の一部を改正する省令案

特定有害廃棄物等の輸出入等の規則に関する法律第四条第二項の地域及び特定有害廃棄物等を定める省令 別表の一の下欄に、環境大臣の確認の対象となるOECD加盟国向けに輸出する特定有害廃棄物等として、再生利用目的で輸出される鉛蓄電池を加える。

(2) 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第三条の規定に基づく同条第一号から第四号までに掲げる事項の一部を改正する告示案

特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第三条の規定に基づく同条第一号から第四号までに掲げる事項 第一の2(2)ロに、OECD 加盟国に特定有害廃棄物等である鉛蓄電池を輸出する場合においては、輸出に係る環境の汚染を防止するために必要な措置を講じているかどうかを環境大臣が確認するため、以下の基本的な事項を定める。
① 輸出について輸入国及び加盟国である通過国から書面による同意を得ていること。ただし、輸入国が我が国に対して行う通告の受領通知の発給の時点から起算して 30日以内に輸入国及び加盟国である通過国の権限のある当局からの回答が無いことをもって同意がなされたものとみなすこと。
② 輸出者、運搬者、輸入者及び処分者の間の書面による契約、又は鉛蓄電池が一の法人等により管理されている事業場の間で運搬される場合にあっては当該事業場間に契約に相当する取決めが存在すること。当該契約等には、環境の保全上適正な運搬及び処分が行われることを明記するとともに、輸出される鉛蓄電池の運搬又は処分を契約等の内容に従って完了することができない場合において代替的に運搬又は処分を行う者及び費用負担に関する事項が含まれていること。
③ 運搬者及び処分者が鉛蓄電池を環境の保全上適正に運搬及び処分する能力を有しており、かつ、我が国において環境の保全上の観点から求められる水準及び条約第4条2(e)に基づき締約国会議において決定される環境の保全上の基準を下回らない方法で運搬及び処分されることが確実であると認められること。
④ 輸入国又は加盟国である通過国が鉛蓄電池の輸入、運搬又は処分について保険、供託金その他の保証を義務付けている場合には必要な措置が講じられていること又は輸出者、運搬者及び処分者が鉛蓄電池の輸出、運搬及び処分を確実に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すること。
⑤ その他理事会決定の的確かつ円滑な実施のために必要な事項に適合していること。

【パブリックコメント】平成29年2月7日~平成29年3月8日
【施行期日】平成29年6月1日
【出典】環境省 http://www.env.go.jp/press/103619.html