閣議決定「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」

2020年3月31日「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」が閣議決定された。

2019年10月1日に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」第11条第1項の規定に基づくもの。

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食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針

●食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針/2020年3月31日閣議決定(pdf)

Ⅰ.食品ロスの削減の推進の意義及び基本的な方向

1.食品ロスを取り巻く現状と削減推進の意義

  • 日本は食料の多くを輸入に依存(2018年度食料自給率(カロリーベース)で37%)
  • 世界の食料廃棄量は、年間約13憶トンと推計(人の消費のために生産された食料の約3分の1に相当する量)
  • 食料の生産に伴うCO2排出量は世界全体の排出量の約25%を占める。また廃棄された食料のためにもCO2が排出され、土地の利用等にも無駄が生じている
  • 飢えや栄養で苦しんでいる人々は約8億人いると推計されている
  • SDGs「目標12.持続可能な生産消費形態を確保する」において、食料廃棄の減少が重要な柱として位置付けられている

2.我が国の食品ロスの現状

  • 日本の食品ロス量は、年間643万トン。うち、事業系は352万トン・家庭系は291万トン(2016年度推計)

3.基本的な方向

  • 国民各層が食品ロスの削減を「他人事」ではなく、「我が事」として捉え、「理解」だけにとどまらず「行動」に移すことが必要
  • 多用な主体が連携し、国民運動として推進

Ⅱ.食品ロスの削減の推進の内容に関する事項 

1.求められる役割と行動

【消費者】

  • 買い物の前に買い物の前に家にある食材をチェックし、使いきれる分だけ購入
  • 食品の適切な保存
  • 家・外食店での食べきり
  • 外食で料理が残った場合は自己責任で持ち帰り 等

【農林漁業者・食品関連事業者】

  • 規格外農産物の有効活用
  • 納品期限(3分の1ルール)の緩和
  • 賞味期限の年月表示化
  • 賞味期限の延長
  • 季節商品の予約販売等需要に応じた販売
  • 外食店での小盛りメニュー等の導入、持ち帰りへの対応
  • フードシェアリング等の活用による売り切りの工夫 等

2.基本的施策

(1)教育及び学習の振興、普及啓発等
  • 消費者に対し、食品ロスを減らすポイントを記載した普及啓発資材を活用し、家庭での食品ロス削減のために、暮らしの中で意識して実践できる内容の普及啓発を行う
  • 命の大切さや食への感謝の気持ちを養うなど、学校の教科等を通じて食品ロスの削減に関する理解と実践を促す
(2)食品関連事業者等の取組に対する支援
  • 商慣習見直し(賞味期限表示の大括り化(年月表示・日まとめ表示)、賞味期限の延長、厳しい納品期限の緩和)を一体的に促進する
  • 小盛りサイズメニューの導入等、利用者の希望に沿った量で料理を提供する外食事業者の取組を促進する
  • ビュッフェ・宴会での食事提供の工夫など外食事業者の食品ロス削減の取組事例を周知する
  • 需要予測の高度化や物流の効率化による食品流通の合理化、フードシェアリング等の新たなビジネスを含めたICT、AI等の新技術の活用による食品ロス削減を推進
(3)表彰
(4)実態調査及び調査・研究の推進
(5)情報の収集及び提供
(6)未利用食品を提供するための活動の支援等

Ⅲ.その他食品ロスの削減の推進に関する重要事項 

1.地方公共団体が策定する食品ロス削減推進計画
2.関連する施策との連携
3.食品ロスの削減目標等
・2030年度までに食品ロス量を半減(2000年度比)
・食品ロス問題を認知し削減に取り組む消費者の割合80%
4.実施状況の点検と基本方針の見直し
・社会経済情勢や施策の実施状況等を踏まえて法施行後5年を目途

スケジュール

【閣議決定】2020年3月31日

根拠法令

食品ロスの削減の推進に関する法律 第11条第1項

○消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律」のページ