化学物質・廃棄物関連の締約国会議である「ストックホルム条約」第9回締約国会議、「バーゼル条約」第14回締約国会議、「ロッテルダム条約」第9回締約国会議が、2019年4月29日~5月10日・ジュネーブ(スイス)において合同開催された。
(※)ストックホルム条約:残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約
(※)バーゼル条約:有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約
(※)ロッテルダム条約:国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約
1.附属書Aへの新規POPs物質の追加
- ジコホル
製造・使用等の禁止(特定の用途を除外する規定なし) - ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質
製造・使用等の禁止(特定の用途を除外する規定あり)
2.認められる目的及び個別の適用除外の見直し
過去に附属書Aに追加された物質について、認められる目的及び個別の適用除外の見直しが行われた。
物質 | 用途(以下の用途に限定) |
ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩及びペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF) |
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正式名称を、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約といい、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約です。
条約を締結している加盟国は、対象となっている物質について、各国がそれぞれ条約を担保できるように国内の諸法令で規制することになっています。
対象物質は、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)において議論されたのち、締約国会議(COP)において決定されます。
(出典)経済産業省 POPs条約のページ
1.「汚れたプラスチックごみ」を規制対象に追加(附属書改正)
「プラスチックの廃棄物」を新たに条約の規制対象に追加する条約附属書の改正が決議された。
具体的には、バーゼル条約の対象となる廃棄物の判断基準や範囲を示す附属書II・VIII・IXが見直された。この改正附属書は、2021年1月1日から効力を生ずる。
2021年1月1日以降は、バーゼル条約の規制対象となるプラスチックの廃棄物を輸出する際には、事前に輸出相手国の同意が必要となる(輸出禁止ではない)。
同附属書の改正内容は、国内担保法となる「バーゼル法」及び「バーゼル法に基づく特定有害廃棄物等の範囲等を定める省令」で担保される予定。
改正附属書 | 内容 | 主な改正内容 |
附属書II (規制対象) ※バーゼル法第2条で担保 |
対象となる「他の廃棄物」のリスト | 附属書VIIIとIXを除くプラスチックごみを追加 (有害でなくても汚れたものは対象となる) |
附属書VIII (規制対象) ※バーゼル省令別表第4で担保 |
有害な廃棄物を例示するリスト | 廃棄の経路や化学的性質などから有害な特性を示すプラスチックごみを有害廃棄物としてリストに追加 |
附属書IX (規制対象外) ※バーゼル省令別表第3で担保 |
条約の対象としない廃棄物を例示するリスト | リサイクルに適したきれいなプラスチックごみの範囲をより明確化 |
※廃棄物管理の能力が低い途上国では不適正に処理されるおそれがあり、海洋への流出につながる懸念もある。
2.海洋プラスチックごみに関するパートナーシップの設立
同パートナーシップでは、プラスチックごみの削減等に関する各国の取組状況の情報収集や普及啓発等が行われる予定。パートナーシップは2020年以降活動を開始する予定。
正式名称を「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」といい、先進国からの廃棄物が途上国に放置されて環境汚染が生じるという問題に対処するために採択されました。
有害物質を含む廃棄物や再生資源などの貨物の輸出入を行う場合に、当該貨物がバーゼル法に規定する「特定有害廃棄物等」や廃棄物処理法に規定する「廃棄物」に該当する場合には、関税法の手続きに加え、「外国為替及び外国貿易法」(外為法)に基づく経済産業大臣の承認、環境大臣による確認等を受けることとなっています。
(出典)経済産業省 バーゼル条約・バーゼル法のページ
以下の2物質を新たに条約対象物質に追加
- ヘキサブロモシクロドデカン
- ホレート
正式名称を「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約」といいます。
化学物質の危険有害性に関する情報が乏しい国へ輸出することによって、その国の人の健康や環境への悪影響が生じることを防止するため、輸出国は、特定の有害物質の輸出に先立って、輸入国政府の輸入意思を確認した上で輸出を行うこと等を規定しています。 条約事務局は、条約の附属書IIIに掲載された化学物質に関する輸入国側の輸入条件(許可又は条件付き許可、輸入不可)を全ての締約国に回付し、これに基づき輸出国は輸入国の当該化学物質の輸入意思を確認した上で輸出を行います。また、各締約国が独自に禁止又は厳しく制限した化学物質を輸出する際には、事前に輸入国へ当該化学物質の有害性情報等を通報します。
(出典)経済産業省 PIC条約のページ
○環境省「ストックホルム条約、バーゼル条約及びロッテルダム条約締約国会議の結果について」/2019年5月14日