中央環境審議会「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の附属書改正に係る化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく追加措置について(第一次答申)」

「ストックホルム条約(※)」第9回締約国会議(COP9:2019年4月29日~5月10日開催)における附属書改正により、新たに2物質群(ジコホル・ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質)を条約の「附属書A(廃絶)」に追加することが決定された。

その結果、当該2物質群を「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」第2条第2項「第一種特定化学物質」に指定することが適当であるとの結論が出され、中央環境審議会長から環境大臣宛てに第一次答申がなされた。
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化審法「第一種特定化学物質」に追加指定することが適当とされた物質群

化学物質名
2・2・2-トリクロロ-1-(2-クロロフェニル)-1-(4-クロロフェニル)エタノール ※一般名:ジコホル
(主な用途:殺虫剤)
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質
(主な用途:フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等)
ただし、以下の化合物を除く。
・オクタデカフルオロアルカン(アルカンの炭素数が8のものに限る。)、クロロ(ヘプタデカフルオロ)アルカン(アルカンの炭素数が8のものに限る。)、ブロモ(ヘプタデカフルオロ)アルカン(アルカンの炭素数が8のものに限る。)
・ペルフルオロアルキル基(アルキル基は直鎖であり、炭素数が17を超えるものに限る。)を有する化合物
・ペルフルオロアルカンカルボン酸(アルカンカルボン酸の炭素数が9以上のものに限る。これらの塩、エステル、酸ハロゲン化物、無水物を含む。)
・ペルフルオロアルキルホスホン酸(アルキルホスホン酸の炭素数が8以上のものに限る。これらの塩、エステル、酸ハロゲン化物、無水物を含む。)
・ペルフルオロアルカンスルホン酸(アルカンスルホン酸の炭素数が9以上のものに限る。これらの塩、エステル、酸ハロゲン化物、無水物を含む。)
・ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、又はペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF)

(参考)ストックホルム条約/POPs条約とは?

正式名称を、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約とよびます。環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約です。
条約を締結している加盟国は、対象となっている物質について、各国がそれぞれ条約を担保できるように国内の諸法令で規制することになっています。
対象物質については、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)において議論されたのち、締約国会議(COP)において決定されます。

(出典)経済産業省 POPs条約のページ

スケジュール

今後、①輸入を禁止する製品の指定、②代替困難な用途がある場合においては、当該用途を指定し、それ以外の用途への使用を制限すること、③技術上の指針の遵守義務及び表示義務の対象となる製品を指定することについて、引き続き中央環境審議会で検討される。

出典

○環境省「中央環境審議会「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の附属書改正に係る化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく追加措置について(第一次答申)」について」2019年8月19日