ワシントン条約第18回締約国会議の結果概要

「ワシントン条約」第18回締約国会議が、2019年8月17日~28日まで、ジュネーブ(スイス連邦)で開催され、国際取引が規制される種を定めている附属書の改正が審議されたほか、条約の運営事項や種の取引と保全に関する決議の採択が検討された。

改正された附属書は、2019年11月26日に発効する。

※ワシントン条約:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約

ワシントン条約 締約国会議
ワシントン条約締約国会議は、3年に1度開催。締約国や事務局の提案により、各種決議案、個別種の条約附属書掲載提案等が審議される。

ワシントン条約 第18回締約国会議の結果概要

1.附属書改正の内容

53提案について審議され、主な附属書改正の審議結果は以下のとおり。

NO 種名
1 コツメカワウソ
(Aonyx cinerea)
附属書Ⅱ ⇒ 附属書Iへ移行
2 ビロードカワウソ
(Lutrogale perspicillata)
附属書Ⅱ ⇒ 附属書Iへ移行
3 アンナンガメ
(Mauremys annamensis)
附属書Ⅱ ⇒ 附属書Iへ移行
4 インドホシガメ
(Geochelone elegans)
附属書Ⅱ ⇒ 附属書Iへ移行
5 パンケーキガメ
(Malacochersus tornieri)
附属書Ⅱ ⇒ 附属書Iへ移行
6 サイガ
(Saiga borealis及びSaiga tatarica)
附属書Ⅱのまま、商業目的のための野生標本の輸出割当をゼロにすることとなった
7 キリン
(Giraffa camelopardalis)
附属書Ⅱに掲載
※新たに取引が制限
8 トカゲモドキ属
(Goniurosaurus spp.)
(中国及びベトナムの個体群。13種)
附属書Ⅱに掲載
※新たに取引が制限
ワシントン条約 附属書
(1)附属書Ⅰ商業取引を原則禁止(絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており、または受けることのあるもの)
(2)附属書Ⅱ商業取引に輸出国の許可が必要(現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となりうるもの)
(3)附属書Ⅲ:いずれかの締約国が、自国内の種の保護のため、他の締約国の協力を必要とするもの。当該種を掲げた国と当該種について取引を行う場合、許可を受けて行う。

2.象牙の国内取引

全ての国の象牙の国内市場の閉鎖を求める決議案が提出されたが、同決議案は採択されず、審議の結果、国内市場を閉鎖していない締約国に管理の取組について報告を求める決定が採択された。

3.次回の締約国会議

次回締約国会議は、2022年(令和4年)、コスタリカにおいて開催されることが決定された。

スケジュール

【附属書の発効】

  • 2019年11月26日発効(附属書の改正が採択された日から起算して90日目)

【国内法の対応】

  • 新たに附属書Ⅰに掲載された種については、改正附属書の発効と同時に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」第4条にの基づき国際希少野生動植物種に指定し、国内流通規制の対象とする(予定)。
  • 附属書に掲載されている動植物等の輸出入は、外国為替及び外国貿易法に基づく規制の対象となっている。発効日以降に輸出入される場合は、例外なく改正後の内容が適用されることになる(猶予期間はない)。

出典

○環境省「ワシントン条約第18回締約国会議の結果概要について」/2019年8月29日

○外務省「ワシントン条約第18回締約国会議」

○経済産業省「2019年11月26日より、ワシントン条約の改正附属書が発効します(ワシントン条約附属書改正に伴う輸出入手続きの変更)」/2019年10月30日