閣議決定「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」(国内希少野生動植物種の指定等)

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基き、絶滅のおそれのある野生動植物種を「国内希少野生動植物種(※1)」に指定し、個体の捕獲、譲渡し等を原則禁止し、必要に応じ生息地等保護区の指定や保護増殖事業を実施することにより、種の保存が図られている。

国内希少野生動植物種(49種。うち特定国内希少野生動植物種(※2)19種)の指定等を行うため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定された。

(※1)国内希少野生動植物種
環境省が実施する生息状況調査によりその指定に必要な生息情報が把握できた種のうち、我が国に生息・生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるもの。捕獲・採取、譲渡し等を原則禁止。必要に応じ生息地等保護区の指定や保護増殖事業を実施することにより、種の保存を図っている。現在ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ等210種の動植物を指定。
(※2)特定国内希少野生動植物種
国内希少野生動植物種のうち、繁殖技術が確立されており、その流通を認めたとしても種の保存に影響を及ぼさないと認められるものについては、特定国内希少野生動植物種として、事前に届出を行った事業者による商業的取引を認めている。現在、ハナシノブ、キタダケソウ等16種の植物を指定。

改正の概要

(1)国内希少野生動植物種の指定(49種)
以下49種について、新たに国内希少野生動植物種として指定する。

1 Carterocephalus palaemon akaishianus
(タカネキマダラセセリ赤石山脈亜種
(タカネキマダラセセリ南アルプス亜種))
26 Saussurea mikurasimensis
(ミクラジマトウヒレン)
2 Parnara ogasawarensis
(オガサワラセセリ)
27 Saussurea yakusimensis
(ヤクシマヒゴタイ(ヤクシマトウヒレン))
3 Pyrgus malvae unomasahiroi
(ヒメチャマダラセセリ)
28 Draba igarashii
(シリベシナズナ)
4 Nesiohelix omphalina bipyramidalis
(オオアガリマイマイ)
29 Ctenitis microlepigera
(コキンモウイノデ)
5 Nesiohelix omphalina omphalina
(ヘソアキアツマイマイ)
30 Dryopteris hangchowensis
(キリシマイワヘゴ)
6 Arisaema abei
(ツルギテンナンショウ)
31 Polystichum piceopaleaceum
(サクラジマイノデ)
7 Arisaema aprile
(オドリコテンナンショウ)
32 Claoxylon centinarium
(セキモンノキ)
8 Arisaema cucullatum
(ホロテンナンショウ)
33 Hypodematium fordii
(リュウキュウキンモウワラビ)
9 Arisaema inaense
(イナヒロハテンナンショウ)
34 Myrsine okabeana
(マルバタイミンタチバナ)
10 Arisaema ishizuchiense ssp. ishizuchiense
(イシヅチテンナンショウ)
35 Gastrodia albida
(ヤクシマヤツシロラン)
11 Arisaema kuratae
(アマギテンナンショウ)
36 Gastrodia uraiensis
(タブガワヤツシロラン)
12 Arisaema nagiense
(ナギヒロハテンナンショウ)
37 Odontochilus hatusimanus
(ハツシマラン)
13 Arisaema ogatae
(オガタテンナンショウ(ツクシテンナンショウ))
38 Platanthera boninensis
(シマツレサギソウ)
14 Arisaema seppikoense
(セッピコテンナンショウ)
39 Drynaria roosii
(ハカマウラボシ)
15 Asarum hexalobum var. controversum
(シシキカンアオイ(シジキカンアオイ))
40 Leptochilus decurrens
(オキノクリハラン)
16 Asarum kinoshitae
(ジュロウカンアオイ)
41 Potamogeton praelongus
(ナガバエビモ)
17 Asarum monodoriflorum
(モノドラカンアオイ)
42 Callianthemum kirigishiense
(キリギシソウ)
18 Asarum sakawanum var. stellatum
(ホシザキカンアオイ)
43 Deutzia naseana var. amanoi
(オキナワヒメウツギ)
19 Asarum satsumense
(サツマアオイ)
44 Lycianthes boninensis
(ムニンホオズキ)
20 Asarum yaeyamense
(ヤエヤマカンアオイ)
45 Stachyurus macrocarpus var. macrocarpus
(ナガバキブシ)
21 Asplenium tenerum
(オトメシダ)
46 Stachyurus macrocarpus var. prunifolius
(ハザクラキブシ)
22 Deparia minamitanii
(ヒュウガシケシダ)
47 Grewia rhombifolia
(ヒシバウオトリギ(アツバウオトリギ))
23 Diplazium pin-faense
(フクレギシダ)
48 Sciaphila yakushimensis
(ヤクシマソウ)
24 Diplazium subtripinnatum
(ムニンミドリシダ)
49 Procris boninensis
(セキモンウライソウ)
25 Crepidiastrum ameristophyllum
(ユズリハワダン)

(2)特定国内希少野生動植物種の指定(19種)
上記(1)で指定する49種のうち、以下19種については、特定国内希少野生動植物種の指定要件を満たすため、特定国内希少野生動植物種に指定する。

※今回指定される特定国内希少野生動植物種の個体等の譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業を行っている者が、法第30条に基づき義務づけられている特定国内種事業の届出を行う場合は、施行日から1か月後までに行えばよいこととする経過措置を設ける。

7 Arisaema aprile(オドリコテンナンショウ)
8 Arisaema cucullatum(ホロテンナンショウ)
9 Arisaema inaense(イナヒロハテンナンショウ)
10 Arisaema ishizuchiense ssp. ishizuchiense(イシヅチテンナンショウ)
11 Arisaema kuratae(アマギテンナンショウ)
12 Arisaema nagiense(ナギヒロハテンナンショウ)
13 Arisaema ogatae(オガタテンナンショウ(ツクシテンナンショウ))
14 Arisaema seppikoense(セッピコテンナンショウ)
15 Asarum hexalobum var. controversum(シシキカンアオイ(シジキカンアオイ))
16 Asarum kinoshitae(ジュロウカンアオイ)
17 Asarum monodoriflorum(モノドラカンアオイ)
18 Asarum sakawanum var. stellatum(ホシザキカンアオイ)
19 Asarum satsumense(サツマアオイ)
20 Asarum yaeyamense(ヤエヤマカンアオイ)
27 Saussurea yakusimensis(ヤクシマヒゴタイ(ヤクシマトウヒレン))
28 Draba igarashii(シリベシナズナ)
37 Odontochilus hatusimanus(ハツシマラン)
39 Drynaria roosii(ハカマウラボシ)
42 Callianthemum kirigishiense(キリギシソウ)

(3)採取等の禁止の対象となる卵及び種子の追加(10種)
上記(1)で指定する49種のうち、以下10種の卵又は種子は、採取等の対象となるおそれがあることから、採取等規制の対象とする。

<卵>

1 Carterocephalus palaemon akaishianus(タカネキマダラセセリ赤石山脈亜種(タカネキマダラセセリ南アルプス亜種))
2 Parnara ogasawarensis(オガサワラセセリ)
3 Pyrgus malvae unomasahiroi(ヒメチャマダラセセリ)

<種子>

25 Crepidiastrum ameristophyllum(ユズリハワダン)
26 Saussurea mikurasimensis(ミクラジマトウヒレン)
32 Claoxylon centinarium(セキモンノキ)
42 Callianthemum kirigishiense(キリギシソウ)
43 Deutzia naseana var. amanoi(オキナワヒメウツギ)
45 Stachyurus macrocarpus var. macrocarpus(ナガバキブシ)
46 Stachyurus macrocarpus var. prunifolius(ハザクラキブシ)

スケジュール

【施行】2018年2月15日

※今回指定される特定国内希少野生動植物種の個体等の譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業を行っている者が、法第30条に基づき義務づけられている特定国内種事業の届出を行う場合は、施行日から1か月後までに行えばよいこととする経過措置を設ける。

出典

○環境省「「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」 に対する意見募集(パブリックコメント)について(国内希少野生動植物種の指定等)」/2018年1月12日

○環境省「「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定について(国内希少野生動植物種の指定等)」/2018年1月23日

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:意見募集終了案件」