公布「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行令等の改正」

2019年10月4日、改正フロン排出抑制法(2019年6月5日公布)の施行に向け、改正法の施行日や指定製品の追加等を行うための関係政令・省令・告示が公布された。

【改正された政令等】
1.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令
2.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行令
3.特定解体工事元請業者が特定解体工事発注者に交付する書面に記載する事項を定める省令
4.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則
5.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行規則
6.フロン類の使用の合理化及び特定製品に使用されるフロン類の管理の適正化に関する指針
7.第一種特定製品の管理者の判断の基準となるべき事項

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2019年6月5日「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)の一部を改正する法律」が公布された。 機器の廃棄時における回収率向上のため、関係者が相互に確認・連携し、ユーザーによる機器の廃棄時のフロン類の回収が確実に行われる仕組み...

改正の概要

1.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令

改正法の施行期日 = 2020年4月1日 とする。

2.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行令

改正法の施行に伴い、法第2条(定義)第2項、第91条(報告の徴収)及び第92条(立入検査)第1項の規定に基づき、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行令」の一部を改正する。

【主な改正事項】

  • 指定製品 の追加(法第2条第2項、令第1条第二号~四号)

    • 非住宅用硬質ポリウレタンフォーム用原液(現場発泡)(住宅用は既に指定)
    • 硬質ポリウレタンフォームを用いた断熱材(工場成型)
    • 硬質ポリウレタンフォームを用いた冷蔵機器及び冷凍機器(第一種特定製品以外のもの)

指定製品制度とは?(法第二条第二項)
「指定製品」とは、フロン類使用製品のうち、特定製品その他我が国において大量に使用され、かつ、相当量のフロン類が使用されているものであって、その使用等に際してのフロン類の排出の抑制を推進することが技術的に可能なものとして政令で定めるもの(令第1条)をいう。
指定製品の製造・輸入業者に対して目標値・目標年度を定め、製造・輸入業者ごとに出荷する製品区分ごとに加重平均で目標達成を求める。

指定製品を製造・輸入等する事業者は「指定製品の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に従い、①指定製品に使用されるフロン類のGWPの低減・②製品の設計・製造等におけるフロン類の充填量の低減・③使用するフロン類などに関する表示の充実、によるフロン類の使用の合理化への取り組みが求められている

改正前は、以下が「指定製品」として定められていた。
・家庭用エアコンディショナー(壁貫通等を除く)
・店舗・オフィス用エアコンディショナー(床置型等を除く)
・自動車用エアコンディショナー(乗用自動車に掲載されるものに限る)
・コンデンシングユニット及び定置式冷凍冷蔵ユニット(圧縮機の定格出力が1.5kW以下のもの等を除く)
・中央方式冷蔵冷蔵機器(5万㎥以上の新設冷凍冷蔵倉庫向けに出荷されるものに限る)
・硬質ウレタンフォームを用いた断熱材(現場発泡用のうち住宅建材用に限る)
・専ら噴射剤のみを充填した噴霧器(不燃性を要する用途のものを除く)

  • 報告徴収及び立入検査に係る規定の整備等(法第91・92条、令第5・6条)
    改正フロン法において、都道府県知事が行う報告徴収の対象に「特定解体工事元請業者」及び「第一種特定製品引取等実施者」が追加された。
    さらに、立入検査の対象に「これらの者の事務所及び事業所並びに解体する建築物その他の工作物等」が追加されたことを踏まえ、それらの報告徴収及び立入検査の実施方法を定める等の改正を行う。

3.特定解体工事元請業者が特定解体工事発注者に交付する書面に記載する事項を定める省令

【主な改正事項】※特定解体工事元請業者に対する義務
  • 確認及び説明の書面の記載事項の修正
  • 確認及び説明の書面の写しの保存期間の設定(3年間)(法第42条、令第2条)
【改正フロン排出抑制法】※下線は改正個所
(特定解体工事元請業者の確認及び説明等)
第四十二条 建築物その他の工作物(当該建築物その他の工作物に第一種特定製品が設置されていないことが明らかなものを除く。)の全部又は一部を解体する建設工事(他の者から請け負ったものを除く。以下この項及び第九十二条第一項において「解体工事」という。)を発注しようとする第一種特定製品の管理者(以下「特定解体工事発注者」という。)から直接当該解体工事を請け負おうとする建設業を営む者(以下「特定解体工事元請業者」という。)は、当該建築物その他の工作物における第一種特定製品の設置の有無について確認を行うとともに、当該特定解体工事発注者に対し、当該確認の結果について、主務省令で定める事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。この場合において、当該特定解体工事元請業者は、当該交付をした書面の写しを当該交付をした日から主務省令で定める期間保存しなければならない。

4.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則

「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(e‐文書法)」第3条(電磁的記録による保存)第1項等の規定に基づき、「フロン排出抑制法」に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術利用に関する施行規則を定め、2020年4月1日から施行する。

【主な改正事項】

  • 電子化対象書面の追加
    (法第42条「事前説明書面」・法第45条の2「引取証明書」等)
【e‐文書法とは?】
従来法令により書面(紙)での保存が義務付けられていた法定保存文書につき、紙文書だけでなく、電子データでの保存を認める法律。ICTの活用により書面の保存等に係る負担を軽減して利便性の向上を図ることで、生活の向上や経済の発展に寄与することを目的としている。

5.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行規則

【主な改正事項】

  • フロン類が充填されていないことの確認方法の整備(法第41条、則第27条の2)
改正後 改正前
第二十七条の二
法第四十一条の規定による確認は、次により行うものとする。
一 第一種フロン類充塡回収業者が第四十条の基準に従い吸引してもフロン類が回収されないこと。
二 第一種フロン類充塡回収業者が廃棄等実施者に次の各号に掲げる事項を記載した書面(以下「確認証明書」という。)を交付すること。
イ~へ(略)
(新設)

  • 引取証明書の写しの交付又は回付の方法及び保存期間の整備
    (法第45条の2、則第48条の2・則第48条の4・則第48条の5)
  • 引取証明書の交付を要しない場合及び引取り等を行うことができる場合の整備(法第45条の2、則第48条の3・則第48条の6)
  • 特定製品の製造業者等が、特定製品に表示すべき事項の追加(法第87条4項、則第94)
改正後 改正前
第九十四条
法第八十七条第四号の主務省令で定める事項は、第一種特定製品である場合にあっては、次のとおりとする。
一 冷媒として充塡されているフロン類の回収が行われていない当該第一種特定製品の引取り等が禁止されていること。
二 当該第一種特定製品に冷媒として充塡されているフロン類の地球温暖化係数
第九十四条
法第八十七条第四号の主務省令で定める事項は、第一種特定製品である場合にあっては、当該第一種特定製品に冷媒として充塡されているフロン類の地球温暖化係数とする。

6.フロン類の使用の合理化及び特定製品に使用されるフロン類の管理の適正化に関する指針

【主な改正事項】

  • 特定建設工事元請業者及び第一種特定製品引取等実施者に係る規定の整備(法第42条・第45条の2、指針4項)
改正後 改正前
4 各主体が講ずべき事項

フロン類の使用の合理化及び特定製品に使用されるフロン類の管理の適正化のため、関係する各主体は、法に基づき定められる基準に加え、下記に定める事項に沿って、必要な取組を講ずるものとする。

(1)製造業者等に関する事項(略)
(2)指定製品または特定製品の管理者に関する事項(略)
(3)特定製品または特定製品に使用されるフロン類を取り扱う事業者に関する事項(略)
①~⑦(略)
⑧特定解体工事元請業者は、解体工事に係る建築物その他の工作物における第一種特定製品の設置の有無についての確認及び説明を適切に実施するとともに、特定解体工事発注者から依頼された場合には当該第一種特定製品または当該第一種特定製品に冷媒として充塡されているフロン類の引渡しに際して適正な取扱いに努める。

⑨第一種特定製品引取等実施者は、第一種特定製品の引取りに際して、フロン類の回収が確認されない機器の引取り等を行わないことを徹底し、廃棄等された第一種特定製品の適正な流通の確保に努める。

4 各主体が講ずべき事項

フロン類の使用の合理化及び特定製品に使用されるフロン類の管理の適正化のため、関係する各主体は、法に基づき定められる基準に加え、下記に定める事項に沿って、必要な取組を講ずるものとする。

(1)製造業者等に関する事項(略)
(2)指定製品または特定製品の管理者に関する事項(略)
(3)特定製品または特定製品に使用されるフロン類を取り扱う事業者に関する事項(略)
①~⑦(略)
(新設)


(新設)

7.第一種特定製品の管理者の判断の基準となるべき事項

【主な改正事項】

  • 点検及び整備に係る記録簿の保存期間の延長(廃棄後3年)、記載事項の追加
    (法第16条、判断基準第四項)
改正後 改正前
第一~第三 (略)

第四 管理第一種特定製品の点検及び整備に係る記録等に関する事項
第一種特定製品の管理者は、管理第一種特定製品ごとに、点検及び整備に係る次の事項を記載した記録簿(2による記録が行われたファイル又は磁気ディスクを含む。以下同じ。)を備え、当該管理第一種特定製品の廃棄等を行い、当該管理第一種特定製品に冷媒として充塡されているフロン類の第一種フロン類充塡回収業者への引渡しを完了した日から3年を経過するまで、保存すること。

(1)~(8)(略)

(9)管理第一種特定製品の廃棄等が行われる場合において、フロン類の引取り又はフロン類が充塡されていないことの確認を行った年月日及び当該フロン類の引取り又はフロン類が充塡されていないことの確認を行った第一種フロン類充塡回収業者の氏名(法人にあっては、その名称及び当該引取り又は確認を行った者の氏名を含む。)

2~5 (略)

第一~第三 (略)

第四 管理第一種特定製品の点検及び整備に係る記録等に関する事項
1 第一種特定製品の管理者は、管理第一種特定製品ごとに、点検及び整備に係る次の事項を記載した記録簿(2による記録が行われたファイル又は磁気ディスクを含む。以下同じ。)を備え、当該管理第一種特定製品を廃棄するまで、保存すること。

(1)~(8)(略)

(新設)

2~5 (略)

スケジュール

【公布】2019年10月4日
【施行】2020年4月1日

出典

○経済産業省「「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令」等が閣議決定されました」/2019年10月1日

○環境省「「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令」等の閣議決定について」/2019年10月1日

○「改正フロン排出抑制法の施行等に向けて整備すべき関係法令改正案について」令和元年7月/環境省・経済産業省