「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)」改正案の閣議決定

2016年3月1日、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定された。
ポリ塩化ビフェニル廃棄物が早期に確実かつ適正に処理されるよう、高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保管する事業者が一定期間内にその処分を行うことを義務付ける等の措置を講ずるものであり、第190回国会に提出される予定。

<改正の背景>

  • PCBは、カネミ油症事件(昭和43年)を契機にその毒性が社会問題化し、昭和47年以降製造中止となった。その後、民間主導で全国39カ所にて処理施設の設置が試みられたが、いずれも住民同意が得られず、30年間以上、処理されない状態が続いた。
  • 平成13年、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)が制定され、国が中心となって、立地地域の関係者の理解と協力の下、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の全国5か所の事業所に処理施設を整備し、高濃度PCB廃棄物の処理を実施してきた。
  • 事業所ごとの計画的処理完了期限は、地元との約束で、最短で平成30年度末となっている。しかし、処分委託しない事業者や使用中のPCB使用製品も存在し、その達成が危ぶまれる状況となっている。

こうした状況を踏まえ、この期限を遵守し、一日でも早く確実に処理を完了するために必要となる制度的な措置を講じるもの。

《法律案の概要》

  1. PCB廃棄物処理基本計画の閣議決定(第6条)
    政府一丸となって取り組むため、PCB廃棄物処理基本計画を閣議決定により定める。
  2. PCB廃棄物の区分
    高濃度PCB廃棄物の基準が定められ、高濃度PCB廃棄物、その他のPCB廃棄物(低濃度PCB廃棄物)及び高濃度PCB廃棄物使用製品に区分される。
  3. 高濃度PCB廃棄物の処分の義務付け(第10条、12条、18条、20条、33条)
    高濃度PCB廃棄物の“保管事業者”に対し、PCB廃棄物の種類ごと・保管場所が所在する区域ごとに政令で定められる期間(計画的処理期限)の1年前までに、高濃度PCB廃棄物の処分を義務付け。義務違反に対しては、改善命令ができることとする。命令違反には罰則を科す。
    (使用中の高濃度PCB使用製品についても、“所有事業者”に、計画的処理完了期限の1年前までに廃棄することを義務付け。電気事業法の電気工作物に該当する高濃度PCB使用製品については、同法により措置)
  4. 報告徴収・立入検査権限の強化(第24条、25条)
    PCB特措法に基づく届出がなされていない高濃度PCB廃棄物等について、都道府県等による事業者への報告徴収や立入検査の権限を強化する。
  5. 高濃度PCB廃棄物の処分に係る代執行(第13条)
    保管事業者が不明等の場合に、都道府県等は高濃度PCB廃棄物の処分に係る代執行を行うことができることとする。

【公布】2016年5月2日
【施行】2016年8月1日
【出典】環境省 http://www.env.go.jp/press/102108.html

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