公布「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」

2018年6月20日「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」が公布された。


船舶の解体は、労働コストなどの観点から、主に開発途上国で実施されているが、労働災害や環境汚染が国際問題化したことを踏まえ、2009年に国際海事機関(IMO)の下で、安全・環境に配慮した船舶の再資源化のための国際ルールを定める「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生資源化のための香港条約(船舶再資源化香港条約(シップ・リサイクル条約)」が採択された。

このシップ・リサイクル条約に基づく国際的な船舶リサイクル制度を国内で具現化するため、特定船舶の再資源化解体業者の許可制度導入、再資源化解体業者、船舶所有者がリサイクル目的で特性船舶の譲渡等を行う際の承認制度を導入するもの。

背景
  • 船舶は、9割以上が再資源化可能な材質で建造されており、運航後はリサイクルのために売船されることが一般的
  • 船舶の解体は、労働コスト・リサイクル材料ニーズの観点から、 主にインド・バングラデシュ等の開発途上国で実施されているが、これらの国での労働災害や環境汚染が国際問題化
  • 日本は船舶再資源化香港条約(シップ・リサイクル条約)の作成・採択(2009年)を主導。適正かつ統一的なルールの下で、 安全・環境に配慮した船舶の解体を確保することが必要

法律の概要

本法律は、シップ・リサイクル条約に基づく国際的な船舶リサイクル制度を国内で具体化するもの。

1.有害物質一覧表の作成

特定船舶(※)でEEZ外を航行する船舶の所有者に対し、当該船舶に含まれる有害物質の使用場所、使用量等を記した有害物質一覧表の作成及び国土交通大臣の確認を受けなければならないものとする。

特定船舶:総トン数500トン(長さ約40m)以上の船舶

2.再資源化解体業者の許可

特定船舶の再資源化解体(リサイクル)を行おうとする者に対し、施設ごとに、主務大臣(国土交通大臣、厚生労働大臣及び環境大臣)の許可(5年ごとの更新制)を取得しなければならないものとする。

3.特定船舶の再資源化解体の目的での譲渡等・譲渡等の手続

  • 再資源化解体業者がリサイクルの目的で特定船舶の譲受等を行おうとするときは、再資源化解体業者に対し、再資源化解体計画の作成及び主務大臣の承認を受けなければならないものとする。
  • 船舶所有者がリサイクルの目的で特定船舶の譲渡等を行おうとするときは、当該船舶所有者に対し、当該譲渡等について国土交通大臣の承認を受けなければならないものとする。

(出典)国土交通省「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案(PDF)」

スケジュール

【公布】2018年6月20日
【施行】条約発効の日(2021年頃)、一部は2019年4月1日

出典

○国土交通省「「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案」を閣議決定~安全・環境に配慮した船舶リサイクル制度を創設します~」

○環境省「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律施行令及び施行規則の公布について」/令和元年5月