公表「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「土地関係特別報告書」」

2019年8月2日~7日に開催(スイス・ジュネーブ)された、第50回「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」において、

「土地関係特別報告書(※)」 

の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾された。

(※)正式名称:気候変動と土地:気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障及び陸域生態系における温室効果ガスフラックスに関するIPCC特別報告書

関連記事
2018年10月1日~6日に開催(韓国・仁川)された、第48回「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」において、 「1.5℃特別報告書(※)」 の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、報告書本編が受諾された。 (※)正式名称:気候変動の脅...
2019年5月8日~12日・京都市において開催された、第49回「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」において、 2019年方法論報告書(正式名称:2016年IPCC国別温室効果ガスインベントリガイドラインの2019年改良) の概要章(Overview C...
2019年9月20日~24日に開催(モナコ公国)された、第51回「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」において、 「海洋・雪氷圏特別報告書(※)」 が承認された。 (※)正式名称:変化する気候下での海洋・雪氷圏に関するIPCC特別報告書 海...

土地関係特別報告書の概要

本報告書は、陸域生態系における温室効果ガス(GHG)の流れ(フラックス)、並びに気候への適応及び緩和、砂漠化、土地の劣化及び食料安全保障に関連する、持続可能な土地管理に関する科学的知見を評価することを目的としている。

本報告書は、『1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書』を含む他のIPCC報告書と、他の国連機関による関連報告書(※)と並ぶもの。

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)による「土地の劣化と再生」という主題に特化した評価報告書、及び国連砂漠化対処条約(UNCCD)による『世界土地概況(Global Land Outlook)』など。

土地関係特別報告書のSPMの構成、報告書本編のアウトラインは以下の通り。

SPM

はじめに
セクションA:昇温する世界における人々、土地及び気候
セクションB:適応及び緩和による応答の選択肢
セクションC:可能とする応答の選択肢
セクションD:短期的な対策

報告書本編

第1章:構成と背景
第2章:陸面・気候相互作用
第3章:砂漠化
第4章:土地の劣化
第5章:食料安全保障
第6章:砂漠化、土地の劣化、食料安全保障及び温室効果ガスフラックスの間でのインターリンケージ:シナジー、トレードオフ及び統合的な対応の選択肢
第7章:リスク管理と持続可能な開発に関する意思決定

スケジュール

次回、第51回総会は、2019年9月20日~23日・モナコ(モナコ公国)において開催され、海洋・雪氷圏特別報告書の承認・受諾を議論する予定。

IPCCとは?
◆国連環境計画(UNEP)及び世界気象機関(WMO)により1988年に設立された政府間機関
◆報告書の作成には、世界各国の研究者数千名が参加
◆地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な見地から包括的な評価を政策決定者等に提供
◆総会においては、成果物である報告書の承認、今後の活動方針の検討等が行われる
◆総会の下、第1作業部会(自然科学的根拠)、第2作業部会(影響・適応・脆弱性)、第3作業部会(緩和策)、インベントリ・タスクフォース(排出量算定方法の開発・改善を担う)が置かれている。
IPCC評価報告書とは?
◆これまで5回(第5次評価報告書(AR5)は2013-2014年公開)にわたり評価報告書を作成・公表
◆国際交渉、各国の政策決定の基礎となる科学的知見を提供してきた
◆現在第6次評価報告書(AR6)公表に向けた作業が進行中

出典

○環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「土地関係特別報告書」の公表(第50回総会の結果)について」/2019年8月8日

○環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)等について」