2019年9月20日~24日に開催(モナコ公国)された、第51回「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」において、
「海洋・雪氷圏特別報告書(※)」 が承認された。
(※)正式名称:変化する気候下での海洋・雪氷圏に関するIPCC特別報告書
海面水位は、今後数世紀にわたり上昇を続け、
温室効果ガス排出量が急激に減少し、地球温暖化が2°Cよりはるかに低く抑えられたとしても、2100年までに海面水位は30~60cm上昇。
温室効果ガス排出量が大幅な増加を続けた場合、海面水位上昇は60~110cmに達するおそれがあると予測している。
本報告書は、海洋・雪氷圏に関する過去・現在・将来の変化、並びに高山地域、極域、沿岸域、低平な島嶼及び外洋における影響(海面水位の上昇、極端現象及び急激な現象等)に関する新たな科学的文献を評価することを目的としている。
海洋・雪氷圏特別報告書のSPMの構成、報告書本編の構成は以下の通り。
SPM
はじめに
セクションA: 観測された変化及び影響
セクションB: 予測される変化及びリスク
セクションC: 海洋及び雪氷圏の変化に対する対応の実施
報告書本編
第1章:報告書の構成と背景
第2章:高山地域
第3章:極域
第4章:海面水位上昇並びに低海抜の島嶼、沿岸域及びコミュニティへの影響
第5章:海洋、海洋生態系及び依存するコミュニティの変化
第6章:極端現象、急激な変化及びリスク管理
次回、第52回総会は2020年2月24日~28日・ジュネーブ(スイス連邦)において開催され、第6次評価報告書統合報告書のアウトラインの承認を議論する予定。
◆国連環境計画(UNEP)及び世界気象機関(WMO)により1988年に設立された政府間機関
◆報告書の作成には、世界各国の研究者数千名が参加
◆地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な見地から包括的な評価を政策決定者等に提供
◆総会においては、成果物である報告書の承認、今後の活動方針の検討等が行われる
◆総会の下、第1作業部会(自然科学的根拠)、第2作業部会(影響・適応・脆弱性)、第3作業部会(緩和策)、インベントリ・タスクフォース(排出量算定方法の開発・改善を担う)が置かれている。
◆これまで5回(第5次評価報告書(AR5)は2013-2014年公開)にわたり評価報告書を作成・公表
◆国際交渉、各国の政策決定の基礎となる科学的知見を提供してきた
◆現在第6次評価報告書(AR6)公表に向けた作業が進行中
○環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「海洋・雪氷圏特別報告書」の公表(第51回総会の結果)について」/2019年9月25日
○国際連合広報センター「海氷と雪氷圏の未来を決めるのは、今の選択(IPCCプレスリリース日本語訳)」
○環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)等について」