公布「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令・安全衛生特別教育規程の一部を改正する件」(電気自動車関連)

2019年8月8日「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」「安全衛生特別教育規程の一部を改正する件」が公布された。

労働安全衛生法では、危険又は有害な業務に労働者を就かせる際は「特別教育」を行うことが義務付けられている。

この特別教育の対象となる電気取扱業務の範囲を見直し、電気自動車等の整備業務に適した内容とするための改正が行われた。

※電気自動車等:電気自動車・ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド車

背景

●労働安全衛生法 第59条第3項においては、事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるもの(対象業務)に労働者を就かせるときは、特別教育を行わなければならないこととしている。

●同項に基づき、労働安全衛生規則 第36条第4号に、特別教育が必要となる業務を具体的に定めている。その一つとして、「高圧及び低圧の電気取扱業務」が定められている。

●近年普及が進んでいる電気⾃動⾞やハイブリッド⾃動⾞など(電気⾃動⾞等)は、対地電圧が50ボルトを超える大型の蓄電池を内蔵しており、その整備業務は、「低圧電気取扱業務」にあたり、事業者は、電気自動⾞等の整備を⾏う労働者に対して、当該労働者の電気による危険を防止するため、則第36条第4号に基づく特別教育を実施することが義務づけられている。

 ↓↓

●しかし、現行の低圧電気取扱業務の特別教育には、電気自動車等の整備業務には必要のない内容が含まれている。

●また、インバーター、コンバーター、サービスプラグ等の電気自動車等に特有の構造等に伴う危険・有害性は、電気自動車等の整備業務に必要な知識であり、確実に理解させることが重要である。

上記のような状況を受けて、特別教育の対象となる電気取扱業務の範囲を見直し、電気自動車等の整備業務を「独立」させるための所要の改正が行われた。

(出典)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案及び安全衛生特別教育規程の一部を改正する件(案)の概要(pdf)

改正の内容

●労働安全衛生規則

特別教育の対象業務に、「電気自動車等の整備の業務」を規定する。

(根拠法令:法第59条第3項及び第113条)

 ●安全衛生特別教育規程

省令の改正に伴い、電気自動車等の整備の業務に関する特別教育の内容を告示で定める。

<学科教育>
科目 範囲 時間
低圧の電気に関する基礎知識 低圧の電気の危険性 短絡 漏電 接地 電気絶縁 1時間以上
低圧の電気装置に関する基礎知識 電気自動車の仕組みと種類 コンバータ及びインバータ 配線 駆動用蓄電池及び充電器 駆動用原動機及び発電機 電気使用機器 保守及び点検 2.5時間以上
低圧用の安全作業用具に関する基礎知識 絶縁用保護具 絶縁工具及び絶縁テープ 検電器 その他の安全作業用具 管理 0.5時間以上
電気自動車等の整備作業の方法 充電電路の保護 作業者の絶縁保護 サービスプラグの取扱いの方法 停電電路に対する措置 作業管理 救急処理 災害防止 1時間以上
関係法令 労働安全衛生法令中の関係条項 1時間以上
<実技>
科目 時間
電気自動車等の整備作業の方法 1時間以上

スケジュール

【公布】2019年8月8日
【施行】2019年10月1日

出典

○厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について(PDF)」

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:結果公示案件」(労働安全衛生規則)

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:結果公示案件」(安全衛生特別教育規程)

○「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申