公布「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律」

2017年6月2日、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)の一部を改正する法律」が公布された。

種の保存法とは?
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図るため、希少野生動植物種の捕獲等及び譲渡し等の禁止、生息地等の保護、保護増殖事業の実施等の措置を講ずるもの。

背景

(1)我が国では、3,596種が絶滅危惧種となっており、「種の保存法」による国内希少野生動植物種の新規指定を推進することが必要。一方で、特に二次的自然に分布する種は、調査研究や環境教育等に伴う捕獲等及び譲渡し等を同法に基づく規制対象から除外する種指定の在り方が求められている。

(2)希少野生動植物種の生息・生育状況等の悪化に伴い、生息域外保全の重要性が増大している一方で、これらを政府の力だけで実施していくことには限界があることから、動植物園等と協力し、また、動植物園等の活動を後押ししていくことが必要不可欠。

(3)国際希少野生動植物種は登録した上で登録票とあわせて譲渡し等を行うことができるが、登録票の返納数が少なく、未返納の登録票を違法に入手した別の個体の登録票として不正に利用した事件も発生しているところ。また、象牙等を扱う特定国際種事業者が、登録票なしで象牙を購入した事例等も確認されている。

改正の概要

(1)「特定第二種国内希少野生動植物種」制度の創設

販売・頒布等の目的での捕獲等及び譲渡し等のみを規制する「特定第二種国内希少野生動植物種」制度を創設し、業者の捕獲等の抑制による保全及び保護増殖事業の実施や生息地等保護区の指定による保全を図ります。(法4条第6項等)

※二次的自然に分布する昆虫類、魚類、両生類等を想定
・業者の捕獲等の抑制による保全
・保護増殖事業や生息地等保護区による保全

(2)「認定希少種保全動植物園等」制度の創設

希少種の保護増殖という点で、一定の基準を満たす動植物園等を認定する制度を創設し(法48条の4等)、認定された動植物園等が行う希少野生動植物種の譲渡し等については、規制を適用しないこととする(法48条の10)。

(3)国際希少野生動植物種の登録手続の改善及び象牙に係る「特別国際種事業者」の登録制度の創設

国際希少野生動植物種の個体等の登録について、更新等の手続を創設するとともに、実務上可能かつ必要な種について、個体識別措置を義務付けることとします。更に、象牙事業については、届出制を登録制とします。(法3条の6等)

(4)その他

生息地等保護区の指定を促進するための制度改変(法36条等)、土地所有者の所在の把握が難しい土地への立入り等の規定の新設(法48条の2等)、国内希少野生動植物種の提案募集制度の創設(法6条)、科学委員会の法定化(法4条7項)等の所要の措置を講ずる。

スケジュール

【公布】2017年6月2日
【公布】2018年6月1日

出典

○環境省「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について」