公布「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律」

2017年6月7日「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律」が公布された。

化学物質による環境汚染をより適切に防止するため、新規化学物質の審査特例制度における一つの新規化学物質を国内で製造・輸入できる年間上限量の考え方について、製造・輸入量の国内総合計量から、環境排出量(製造・輸入数量に用途別の排出係数を乗じた数量)の合計量に見直すとともに、

新規化学物質のうち毒性が強いためその取扱いに関し特に注意が必要なものについて所要の措置を講ずるもの。

改正の背景

1.少量多品種の機能性化学物質

  • 近年、我が国の化学産業は、少量多品種の機能性化学物質の⽣産に移⾏。新規化学物質の製造・輸⼊における少量/低量⽣産のための審査特例制度(※)のニーズが増加している。
    ※新規の化学物質を製造/輸⼊しようとする者は、原則として、事前に届出し、国による新規化学物質の毒性等の審査を受ける必要があるが、製造・輸⼊量が⼀定以下の場合は、当該審査が⼀部⼜は全部免除され、国による数量確認のみにより製造・輸⼊できる。

  • 審査特例制度では、各事業者が申し出た製造・輸⼊量の合計が⼀定量を超えた場合、①国が事業者間の製造・輸⼊量の数量調整を⾏い、その結果、②各事業者の製造・輸⼊量は按分で減じられる
    ※国内総量上限が存在する。国内総量上限に収まるように国が数量を調整する。

  • このように、数量調整に伴い、事業者は製造・輸⼊量を予⾒できず、ビジネス機会を失うケースが⽣じている。

2.毒性が強い化学物質の出現

  • 新たな化学物質の中には、近年、⼈の健康や動植物の⽣息等に与える毒性が強いものが出現している

法改正の概要

●化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案概要資料(概要版)pdf
●化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案概要資料(詳細版)pdf

1.審査特例制度における全国数量上限の見直し(施行:2019年1月1日)

⽤途別の排出係数を⽤いたリスク評価⼿法の確⽴を踏まえ、全国数量上限を、環境排出量換算の基準に⾒直す。
(排出係数の例:「芳⾹剤」1.0 「液晶パネル」0.0012等)

全体数量上限の事実上の増加により、数量調整が⾏われるケースが減少し、事業者の予測可能性が確保されるとともに、製造・輸⼊量の増加が可能。
また、数量調整に係る⾏政事務コストも減少する。

特例制度 (現行制度)
全国数量上限
(新たな制度)
全国数量上限
少量新規制度 1トン(製造・輸入数量) 1トン(環境排出量換算)
低生産量新規制度 10トン(製造・輸入数量) 10トン(環境排出量換算)

2.毒性が強い新規化学物質の管理の見直し(施行:2018年4月1日)

(1)通知

新規の化学物質の審査において最も規制措置の少ない⼀般化学物質に該当するとされた化学物質のうち、毒性が強いものについては、国がその旨を通知する

(2)情報伝達義務

事業者が当該化学物質を販売するにあたって、⼀般化学物質の中でも毒性が強いものである旨、情報の伝達に努めるよう義務付け

(3)指導及び助言

主務⼤⾂による当該事業者に対する取扱いの⽅法に係る指導及び助⾔の権限を創設

(4)取扱状況の報告

主務大臣は、事業者からの取扱いの状況について報告を求めることができる

スケジュール

【公布】2017年6月7日
【施行期日】
・上記1:2019年1月1日
・上記2:2018年4月1日

出典

○環境省「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について」/2017年3月7日

○経済産業省「「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」/2017年3月7日

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