公布「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律(改正オゾン層保護法)」

2018年7月4日「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律(改正オゾン層保護法)」が公布された。

2016年10月に改正されたモントリオール議定書の国内担保を行うため、法の対象物質に「特定物質代替物質(HFC:代替フロン)」を追加し、製造及び輸入を規制する等の措置を講じるもの。

※現行法は、「特定物質(CFC、HCFC:特定フロン)」のみが対象。

「特定フロン」と「代替フロン」
フルオロカーボン(炭素とフッ素の化合物)を一般的に「フロン」とよびます。「フロン」は、自然界には存在しない人工物質で、冷蔵庫などの冷媒、断熱材、クッションの発泡剤、半導体や精密部品の洗浄剤、スプレーの噴射剤(エアゾール)など様々な用途に活用されています。
フロンのうち、CFC、HCFC(クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン)は「特定フロン」とよばれ、オゾン層破壊物質です。一方、HFC(ハイドロフルオロカーボン)のことを一般に「代替フロン」とよびます。HFCは塩素を持たないためオゾン層を破壊しません。しかし、代替フロンは二酸化炭素の数百倍~数万倍の温室効果があり、地球温暖化の原因になります(特定フロンも温室効果をもっています)。

背景

オゾン層破壊効果のあるフロンの削減義務を課した「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」(1987年採択)を受け、国内担保措置として、「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)に基づき、「特定フロン」の製造・輸入を規制し、オゾン層破壊効果のない「代替フロン」への転換を図ってきた。

2016年10月、この「モントリオール議定書」の改正が採択され、地球温暖化に影響を与える代替フロン(ハイドロフルオロカーボン)についても、地球温暖化に影響を与えることに鑑み、その生産量・消費量の削減義務が課されることになった。

この議定書改正の国内担保を行うため、特定フロンと同一の枠組みで、代替フロンの製造及び輸入を規制する等の措置を講じるもの

これにより、オゾン層を破壊せず温暖化影響も小さい「グリーン冷媒」への転換を進める。

改正概要

現行法における特定フロンについての措置と同一の枠組みで、「特定物質代替物質(代替フロン)」について、以下の措置を講じる。

1.基本的事項等の公表

経済産業大臣及び環境大臣は、議定書に基づき我が国が遵守すべき代替フロンの生産量及び消費量の限度を定めて公表する。

2.代替フロンの製造量・輸入量の許可

①代替フロンを製造しようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならないこととする。

②代替フロンを輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易法の規定に基づく経済産業大臣の輸入の承認を受けなければならないこととする。

3.法律名変更

「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」→「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」へ変更する。

スケジュール

【公布】2018年7月4日
【施行】2019年1月1日

出典

○経済産業省「「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」

○経済産業省「平成30年度改正オゾン層保護法説明会」資料

○経済産業省「特定物質等の規制等によるオゾン層の保護日関する法律(オゾン層保護法)解説」