2020年6月15日、「粉じん障害防止規則」「労働安全衛生規則」の一部を改正する省令が公布された。
粉じん作業を行う坑内作業場(ずい道等の内部において、ずい道等の建設の作業を行うものに限る)については、「粉じん障害防止規則」の規定により、1回/半月、空気中の粉じんの濃度を測定し、その結果に基づき換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じなければならないこととされているが、
さらなる作業環境改善のため、正確なトンネル切羽付近の空気中の粉じん濃度の測定・評価方法の改正を行うもの。
1.粉じん障害防止規則
【ポイント】トンネル(ずい道)建設工事において、正確な切羽(トンネル掘削の最先端箇所)に近接する場所の空気中の粉じん濃度測定、測定結果に応じた換気装置の風量の増加等の必要な措置を義務付ける。
(1)測定個所・測定内容の明確化
- 粉じん作業を行う坑内作業場における空気中の粉じんの濃度の測定について、当該坑内作業場の切羽に近接する場所で行うことを義務付け
- 当該空気中の粉じんの濃度の測定を行うときは、原則として、当該坑内作業場における粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定することを事業者に義務付け
(2)測定結果に基づく措置
- 空気中の粉じんの濃度の測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じたときは、その効果を確認するため、当該坑内作業場の切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度を測定することを義務付け
(3)粉じん濃度等の記録等
- 空気中の粉じんの濃度及び遊離けい酸の含有率の測定を行ったときは、その都度、必要な事項を記録し、7年間保存することを義務付け
- また、当該記録事項を、労働者に周知させること(常時各作業場の見やすい場所に掲示/備え付け等)を義務付け
(4)電動ファン付き呼吸用保護具
- 「動力を用いて鉱物等を掘削する場所における作業」「動力を用いて鉱物等を積み込み、又は積み卸す場所における作業」「コンクリート等を吹き付ける場所における作業」(粉じん則別表第3参照)のいずれかに労働者を従事させる場合、一部の作業を除き、当該作業場についての測定結果に応じて、当該作業に従事する労働者に有効な電動ファン付き呼吸用保護具の使用を義務付け
2.労働安全衛生規則
【ポイント】ずい道等の掘削等作業主任者の職務について、換気等の方法を決定し、労働者に使用させる呼吸用保護具を選択すること等を追加し、技能講習の学科講習の科目を改める。
(1)ずい道等の掘削等作業主任者の職務
ずい道等の掘削等作業主任者の職務について、以下の事項を追加
- 換気等の方法を決定し、労働者に使用させる呼吸用保護具を選択する
- 呼吸用保護具の機能を点検し、不良品を取り除く
- 呼吸用保護具の使用状況を監視する
(2)ずい道等の掘削等作業主任者技能講習
ずい道等の掘削等作業主任者技能講習の学科講習の科目のうち、「作業環境等に関する知識」を「作業環境の改善方法等に関する知識」に改める
3.ずい道等の掘削等作業主任者技能講習規程
ずい道等の掘削等作業主任者技能講習の講習科目「工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識」を「工事用設備、機械、器具、作業環境の改善方法等に関する知識」に改める。
講習科目に係る範囲に、「空気中の粉じんの濃度等の測定方法」及び「換気等の方法」を追加し、「保護具」を「要求性能墜落制止用器具その他の命綱、保護帽及び呼吸用保護具」に改める。また、当該科目の講習時間を1時間30分増やし、5時間30分とする。
【公布】2020年6月15日
【施行】2021年4月1日
※ずい道等の掘削作業主任者に関する改正規定は、2022年4月1日予定
○厚生労働省「「粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」等の公布について」/2020年6月15日
○e-GOV「「粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案に関する意見募集について」に対して寄せられた御意見等
○厚生労働省「「トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会」の報告書を公表します」/2020年1月30日