パブリックコメント「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申案)」

中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会において、

「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申案)」

が取りまとめられ、パブリックコメントが行われる(2019年11月14日~12月13日)。

2013年の大気汚染防止法改正後、新たに明らかになってきた課題を踏まえ、

一層の石綿飛散防止対策の強化のため、大気汚染防止法における規制について検討 したもの

背景
  • 法の規制対象となっていない石綿含有成形板等(いわゆるレベル3建材)の不適切な除去により、作業場所の周辺に石綿が飛散するおそれがあることが明らかになった。
  • 不適切な事前調査により、石綿含有建材が把握されず、石綿の飛散防止措置なしに建築物等の解体等工事が行われた事例がある。
  • 作業終了後に、石綿含有建材の取り残しが確認された事例がある。
  • 予期せぬ箇所からの石綿の飛散が確認された事例がある。
  • 短期間で作業が行われる場合が多く、行政が作業終了前に違反を把握できず、命令を発出できない場合がある。

答申案の概要

1.特定建築材料以外の石綿含有建材の除去等作業の際の石綿飛散防止

  • 大気汚染防止法における規制対象となっていない、いわゆるレベル3建材(石綿含有成型板等)について、除去等作業時に適切に石綿の飛散を防止するため、作業基準の策定、事前調査の実施等、大気汚染防止法の規制の対象とする。

2.事前調査の信頼性の確保

  • 事前調査の方法を法令で定め、一定の知見を有する者が調査を行う。また、都道府県等が適切に調査が行われたか確認するため、受注者は調査の記録を保存する。
  • 都道府県等が解体等工事の現場を幅広く把握するため、労働安全衛生法と共通の電子システムにより石綿含有建材の有無にかかわらず、受注者は一定規模等以上の工事の調査結果を報告する。

3.石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認

  • 一定の知見を有する者が取り残しがないことの確認を行う。
  • 都道府県等及び発注者が適切に除去等作業が行われたことを確認するため、受注者は作業の記録を保存し、発注者に作業結果の報告を行う。

4.特定粉じん排出等作業中の石綿漏えいの有無の確認

  • 集じん・排気装置の排気口における粉じんの測定の頻度・作業場所における負圧の状況の確認頻度を増やす

5.作業基準遵守の強化

  • 立法技術上の課題も踏まえつつ、作業基準違反への直接罰の創設を検討する。

6.その他

  • 災害時における石綿の飛散防止を推進するため、所有者等は通常使用時から建築物等への石綿含有建材の使用の把握に努め、国や都道府県等はこれを後押しすること等に努める。
  • 国が、業界団体等と連携し、発注者、受注者、建築物等の所有者等に対する更なる普及啓発に努める。

出典:中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会「「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申案)」の概要」

(参考)大気汚染防止法におけるアスベスト規制

特定建築材料(※)が使用されている建築物等の解体等工事にあたっては、当該工事の受注者又は自主施工者は、特定建築材料の使用の有無を調査し、調査結果を発注者に説明することが義務付けられている。

さらに、特定建築材料が使用されている建築物等の解体、改造、補修する際には、作業基準(石綿飛散防止対策)の遵守が義務付けられている。

(※)特定建築材料:吹付け石綿、石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(石綿が質量の0.1%を超えて含まれているもの)。特定建築材料に該当しない、いわゆる石綿含有成形板等については、法の規制の対象外ではあるが、解体等の際、機械による破砕等を行うと石綿が飛散するおそれがあるため、材料を薬液等で湿潤化して手ばらしによる取り外しを行うなど、飛散防止に十分留意することが必要。

スケジュール

【パブリックコメント】2019年11月~12月

【答申とりまとめ】2019年12月~2020年1月

出典

○環境省「「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について」/2019年11月14日

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:結果公示案件」

○中央環境審議会 大気・騒音振動部会 石綿飛散防止小委員会「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申案)

○中央環境審議会 大気・騒音振動部会 石綿飛散防止小委員会「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申案)」概要

○中央環境審議会大気 大気・騒音振動部会 石綿飛散防止総委員会