パブリックコメント「粉じん障害防止規則・労働安全衛生規則の一部を改正する省令案」(トンネル建設工事における粉じん濃度測定)

「粉じん障害防止規則」「労働安全衛生規則」の一部を改正する省令案についてパブリックコメントが行われる(2020年3月28日~4月26日)。

ずい道等を建設する工事(トンネル建設工事等)における作業環境を改善するため、所要の改正を行うもの。

趣旨

労働安全衛生法第22条・第27条第1項では、事業者に対し、粉じん等による健康障害を防止するため必要な措置を講ずることを義務付けており、その内容は厚生労働省令で定めることとされている。

ずい道等建設工事においては、新たな工法の普及、機械の大型化等により粉じんの発生の態様が多様化していること等から、最新の知見等に基づき、トンネル建設工事における作業環境を改善するため「トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会報告書」(2020年1月30日公表)が公表された。これを踏まえ、「粉じん障害防止規則」「労働安全衛生規則」について、所要の改正を行うこととなった。

1.粉じん障害防止規則

(1)濃度測定

  • 事業者は、粉じん作業を行う坑内作業場(ずい道等の内部において、ずい道等の建設の作業を行うものに限る)について、半月以内ごとに1回定期に、厚生労働大臣の定めるところにより、当該坑内作業場の切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。ただし、ずい道等の長さが短いこと等により、空気中の粉じんの濃度の測定が著しく困難である場合は、この限りでない。

(2)遊離けい酸濃度の測定

  • 上記(1)の坑内作業場において(1)の測定を行うときは、当該坑内作業場における粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。ただし、当該坑内作業場における鉱物等中の遊離けい酸の含有率が明らかな場合にあっては、この限りでない。

(3)測定結果に基づく措置

  • (1)の測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加等の作業環境改善の措置を講じなければならない。
  • 作業環境改善の措置を講じたときは、その効果を確認するため、厚生労働大臣の定めるところにより、当該坑内作業場の切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。

(4)粉じん濃度等の記録等

  • 上記(1)~(3)の測定記録の保存(7年間)
  • 記録事項を、常時各作業場の見やすい場所に掲示/備え付ける等の方法により、労働者に周知する

(5)電動ファン付き呼吸用保護具

  • 「動力を用いて鉱物等を掘削する場所における作業」「動力を用いて鉱物等を積み込み、又は積み卸す場所における作業」「コンクリート等を吹き付ける場所における作業」のいずれかに労働者を従事させる場合、厚生労働大臣の定めるところにより、当該作業場についての測定結果に応じて、当該作業に従事する労働者に有効な電動ファン付き呼吸用保護具を使用させなければならない。

2.労働安全衛生規則

(1)ずい道等の掘削等作業主任者の職務

ずい道等の掘削等作業主任者の職務について、以下の事項を追加する。

  • 換気等の方法を決定し、労働者に使用させる呼吸用保護具を選択する
  • 呼吸用保護具の機能を点検し、不良品を取り除く
  • 呼吸用保護具の使用状況を監視する

(2)ずい道等の掘削等作業主任者技能講習

ずい道等の掘削等作業主任者技能講習の学科講習の科目のうち、「作業環境等に関する知識」を「作業環境の改善方法等に関する知識」に改める

スケジュール

【パブリックコメント】2020年3月28日~4月26日
【公布】2020年6月上旬(予定)
【施行期日】2021年4月1日(予定)
 ※ずい道等の掘削作業主任者に関する改正規定は、2022年4月1日予定

※関連するガイドラインの改正も予定されている。

根拠法令

労働安全衛生法 第14条・第27条第1項・第76条第3項・第103条第1項・第113条