公布「農薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う農林水産省関係省令の整備及び経過措置に関する省令」

「改正 農薬取締法」(公布:2018年6月15日)において、農薬の安全性の一層の向上を図るため、農薬の規制に関する国際的動向等を踏まえ、同一の有効成分を含む農薬について一括して定期的に安全性等の再評価を行う制度を導入するとともに、農薬の登録事項を追加する等が措置された。

改正法の施行に伴い、所要の規定の整備等を行うため「農薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う農林水産省関係省令の整備及び経過措置に関する省令」、「農薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う農林水産省・環境省関係省令の整備に関する省令」及び「特定試験成績及びその信頼性を確保するための基準に関する省令」が制定され、2018年11月30日に公布された。

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2018年6月15日「改正農薬取締法」が公布された。 農薬の安全性の一層の向上を図るため、農薬の規制に関する国際的動向等を踏まえ、同一の有効成分を含む農薬について一括して定期的に安全性等の再評価を行う制度の導入・農薬の登録事項を追加する等の改正を行うもの。 ...
改正の概要
Ⅰ.農薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う農林水産省関係省令の整備及び経過措置に関する省令

1.農薬取締法施行規則の一部改正

(1)農薬の登録申請に当たり提出しなければならない資料として、農薬及び農薬原体の組成、物理的化学的性状、薬効・薬害、代謝、毒性、農作物等への残留、土壌や環境への影響に関する試験成績等を定める。
(2)農薬原体の成分及び毒性の強さが同等なもの(ジェネリック農薬)について、登録申請時に提出を省略することができる資料は、毒性、農作物への残留等の試験成績とする(ただし、先発農薬(登録から15年経過)の相当する資料が提出から15年経過しており、かつ、当該資料が申請された農薬の審査を行うに足りるものと認められる場合に限る。)。
(3)再評価を行う期間は、概ね15年ごととする。
(4)農薬の表示の方法として、農薬の容器に表示が困難な場合、一部の表示事項について記載した文書を容器に添付することに代えることができるものとする。
(5)収穫サイクルごとに農薬の総使用回数をカウントする農作物等は、「多年生の植物」ではなく「複数回収穫される」農作物等とする。
(6)インターネット販売等、販売所で直接農薬を販売しない場合には、販売者の「事務所その他これに準ずる場所」を販売所として届け出るものとする。
(7)農薬製造者等の帳簿は、最終の記載の日から3年間保存しなければならないものとする(法律で定めていた保存期間を省令で規定)。
(8)農薬製造者等が、毎年、農林水産大臣に報告しなければならない事項として、人畜等への被害の発生に関する情報や研究報告、外国における登録の変更・取消しに関する情報等を追加する。また、年次(1月~12月まで)ごとに求めていた臭化メチルの製造数量等の報告は廃止することとする。

2.農林水産省関係省令の整備

以下について、改正法による農薬取締法の条項の移動等に伴う所要の改正を行う

  • 農薬取締法施行規則
  • 飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令
  • 種苗法施行規則
  • 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律施行規則
  • 農林水産省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則

3.経過措置

改正法附則第4条第1項の農林水産省令で定める期間(改正法の施行日時点で登録されている農薬について、初回の再評価を行う(全て終える)までの期間)は、施行日から概ね18年以内とする。

Ⅱ.農薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う農林水産省・環境省関係省令の整備に関する省令

1.農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令の一部改正

(1)最終有効年月に加え、使用上の注意事項等の表示事項についても遵守に努めることを明確化する
(2)ドローンを含む無人航空機を用いて農薬を使用しようとする場合には、農薬使用計画書を提出しなければならないこととする
(3)ゴルフ場における農薬の使用計画書の提出先に環境大臣を追加する。また、農薬使用者は、ゴルフ場において農薬を使用しようとするときは、農薬のゴルフ場の外への流出防止措置を講じるよう努めるものとする
(4)農薬の飛散防止措置を講じるべき住宅地等について、住宅地のほか学校、保育所、病院等が含まれることを明確化する
(5)水田において農薬を使用するときは、全ての農薬について、水田における流出防止措置を講じるよう指導を行ってきたことから、対象となる農薬を個別に規定することを廃止する
(6)臭化メチルについて、現在は、検疫用途のみの使用方法となっていることから、被覆を要する農薬の対象から除外する

2.農林水産省・環境省関係省令の整備

以下について、改正法による農薬取締法の条項の移動等に伴う所要の改正を行う

  • 農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令
  • 農薬取締法第十三条の規定による報告及び検査に関する省令
  • 農薬取締法に基づく農薬の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省令
  • 農薬取締法第二条第一項の登録を要しない場合を定める省令
  • 農薬取締法第十二条第一項の農林水産省令・環境省令で定める農薬を定める省令
  • 愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令

Ⅲ.特定試験成績及び信頼性を確保するための基準に関する省令(新規)

改正後の農薬取締法では、農薬の登録申請、変更登録申請及び再評価において提出すべき試験成績のうち農林水産省令で定めるもの(特定試験成績)については、その信頼性を確保するために必要なものとして農林水産省令で定める基準に従って行われる試験でなければならないものとされている(法第3条第2項、第7条第1項及び第8条第3項)。

本省令は、特定試験成績及びその信頼性を確保するための基準について定めるもの。

■特定試験成績

  • 農薬原体の組成に関する試験成績(ダイオキシン類の分析を除く。)
  • 有効成分の物理的化学的性状に関する試験成績(色調、形状及び臭気に関する試験を除く。)
  • 動物の体内での代謝に関する試験成績
  • 毒性に関する試験成績(解毒方法及び救命処置方法の検索に関する試験を除く。)
    ※微生物農薬については、毒性に関する試験成績のみを特定試験成績とする。
  • 植物の体内での代謝及び農作物等への残留に関する試験成績(生産量の少ない農作物を適用農作物として試験を実施する場合を除く。)
  • 家畜の体内での代謝及び畜産物への残留に関する試験成績
  • 土壌中動態、土壌吸着性及び水中動態に関する試験成績
  • 水産動植物の影響に関する試験成績 等

■特定試験成績の信頼性を確保するための基準

(1)経済協力開発機構(OECD)における優良試験所基準(GLP)を基に定める。
(2)試験施設の運営管理者、試験責任者及び信頼性保証部門(試験が本基準に従って行われていることを保証する部門)等、試験の遂行及び信頼性を確保するために必要な職員の責務を定める。
(3)試験施設は、試験を実施するために必要な面積及び異なる操作を分離して行うことができる構造等を有するものとする。また、試験に必要な機器を適切に配置し、保守点検等を実施するほか、試験の材料及び試薬について名称、保管条件及び使用期限等の適切な表示を行う。
(4)安全性評価の対象となる農薬等(被験物質)の管理、記録の保管、信頼性保証部門が行う業務等について定めた標準操作手順書を作成する。
(5)試験責任者は、試験計画書を作成し、これに従って試験を実施する。また、試験ごとに最終報告書を作成する。

スケジュール

【公布】2018年11月30日
【施行】2018年12月1日(改正法の施行日)

出典

○電子政府の総合窓口 パブリックコメント:結果公示案件

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