「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直し(報告案)」に対するパブリックコメント

水質環境基準の項目であるトリクロロエチレンは、2014年11月に基準値の変更が行われた。これを踏まえ、水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しが行われることとなり、報告案が公表された。意見募集が、2016年3月2日まで行われる。

  1. 排水基準の設定について
    有害物質の規制に係る排水基準についての従来の考え方を踏襲し、既規制項目で環境基準が強化されたトリクロロエチレンについても、新しい環境基準(0.01mg/L)の 10 倍値(0.1mg/L)を排水基準とすることが適当である。
  2. 地下水浄化基準の設定について
    地下水の水質の浄化措置命令(法第14 条の3)に関する浄化基準については、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として設定されている地下水の環境基準とこれまで同じ値に設定されてきた。このことから、トリクロロエチレンについても従来の考え方を踏襲し、地下水環境基準と同じ値(0.01mg/L)とすることが適当である。
  3. 特定事業場に係る地下浸透規制について
    地下浸透基準値は現行(0.002mg/L)のまま据え置くことが適当である。
  4. 暫定排水基準について
    今回の改正では、現在適用されている排水対策や排水処理技術によって、新しい排水基準の濃度レベルに対応が可能であることから、いずれの業種についても、暫定排水基準を設定しないことが適当である。
  5. 留意事項
    トリクロロエチレンの排水処理には、揮散法と活性炭吸着法が主に用いられるが、トリクロロエチレンは大気環境基準も設定されており、また、大気汚染防止法に基づき事業者の自主的な判断のもと排出又は飛散を抑制するための措置を講じなければならないとされた上で、一部の施設について指定物質抑制基準が定められている。このことから、揮散法を用いる場合にはその後の排ガス処理について十分考慮すべきである。

【パブリックコメント】2015年1月30日~3月2日
【出典】環境省 http://www.env.go.jp/press/100274.html