閣議決定「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)の改正」

「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」の改正案が4月19日に閣議決定された。主な改正内容は下記の通り。

<改正の背景>
①昨今、貿易の増大に伴い、企業の輸出入品が生物多様性を損なうケースが増えてきている。外来種がコンテナに混入して、国内に持ち込まれたり、絶滅危惧種を産業利用するなどがある。
②生物多様性基本法が平成20年に制定され、さらに、平成22年の生物多様性条約第10回締約国会議において採択された愛知目標の中に、侵略的外来種を制御、根絶するための対策等を講じることが位置付けられるなど、生物多様性に対する国内外の関心が高まってきており、外来生物対策を一層推進することが求められている。
③特定外来生物が交雑することにより生じた生物による生態系等に係る被害が懸念されるなどの状況にあり、平成24年12月には中央環境審議会から今後講ずべき措置について意見具申がなされた。

<改正概要>
①外来生物の定義の改正
外来生物の定義を改正し、これまで法の対象となっていなかった外来生物が交雑することにより生じた生物を、外来生物に含めることとする。
②放出等の禁止の例外
現在例外なく禁止されている特定外来生物の放出等について、防除の推進に資する学術研究の目的で主務大臣の許可を受けた場合及び防除の目的で主務大臣の確認又は認定を受けた場合は例外として行えることとする。
③措置命令の対象の拡充
主務大臣による措置命令の対象は、これまでは許可を受けて飼養等している者に限られていたが、許可なく飼養等をしている者等に拡大するとともに、措置命令の内容として、特定外来生物の飼養等の中止、放出等をした特定外来生物の回収等を新たに規定する。
④所有者等不明の土地への立入り等の手続の整備
主務大臣等が、防除のために、その職員に所有者等不明の土地への立入り等をさせる場合の手続を新たに規定。
⑤輸入品等の検査等の創設
輸入物資に付着・混入している特定外来生物の消毒方法の基準を定めるとともに、環境大臣が輸入者に対して消毒等の措置を命令できることとする。(消毒の基準は2014年5月頃までに定める。燻蒸費用は輸入業者が負担し、基準に違反し、燻蒸を怠った場合は罰則が科される。)
⑥企業への罰金を最大1億円とする。

【公布】2013年6月12日
【施行】公布から1年以内
【出典】