廃棄物処理情報の提供に関するガイドライン(WDS) 第2版発行

利根川のホルムアルデヒド問題で、再度注目を浴びている「廃棄物処理情報の提供に関するガイドライン(WDS)」が改訂され、第2版が発行された。

廃棄物を適正に処理するため、廃掃法に定める産業廃棄物の委託基準では、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供することとされており、環境省では、必要な廃棄物情報を具体的に説明するため、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」を策定・公表している。

平成24年5月に利根川水系の複数の浄水場で水道水質基準を上回るホルムアルデヒドが検出された事案では、排出事業者が処理を委託した廃液に、ホルムアルデヒドの前駆物質であるヘキサメチレンテトラミンが高濃度に含まれていることが処理業者に伝達されず、適切な処理が行われなかったことが原因であると強く推定された。

このため、こうした事案の再発防止と、排出事業者から処理業者への情報伝達についてのさらなる具体化・明確化を図るため、当該ガイドラインについて、必要な内容の見直しが行われた。

<改訂内容の概要>
(1)情報提供が必要な項目の追加
廃棄物情報が必要な項目を整理し、次の項目を追加するとともに、廃棄物データシート(WDS)の様式を見直した。
①PRTR対象物質
②水道水源における消毒副生成物前駆物質
③関連法規(危険物等)

(2)双方向コミュニケーションの重要性を強調
廃棄物の情報は、排出事業者から処理業者への一方通行ではなく、情報のやり取りを通してより正確な情報となり、当該廃棄物の適正処理が可能となることを認識し、排出事業者及び廃棄物処理業者がともに本ガイドラインの活用により、コミュニケーションを活発に行うことが重要であるとしたこと。

(3)対象廃棄物の整理
外観から含有廃棄物や有害特性が判りにくい汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリの4品目を主な適用対象と明記し、廃棄物の性状が明確で、環境保全上の支障のおそれのない廃棄物に関しては、WDS以外の情報の提供でも可能としたこと。

(4)情報提供の時期
WDSは、基本的には契約時に提供し、契約書に添付するものであるが、新規の廃棄物処理に際して受入れの可否判断や処理に必要な費用の見積りのために排出事業者から処理業者へWDSを提供、あるいは処理業者と共同作成により情報を共有し、双方が確認、署名した上で契約書に添付することが望ましいとしたこと。

【出典】 環境省 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16736