2019年6月5日「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)の一部を改正する法律」が公布された。
機器の廃棄時における回収率向上のため、関係者が相互に確認・連携し、ユーザーによる機器の廃棄時のフロン類の回収が確実に行われる仕組みへの見直しを行うもの。
フロン排出抑制法ポータルサイトに、「改正フロン排出抑制法に関する説明会資料(令和元年度版)」がアップされました!!(2019年11月21日記事追加)
背景
機器廃棄時のフロン回収率低迷
- 機器廃棄時の冷媒回収率は、10年以上3割程度に低迷しており、直近でも4割弱に止まっている。
- フロン未回収分(6割強)のうち半分強(3割強)は、機器廃棄時にフロン回収作業が行われなかったことに起因。
特に建物解体に伴う機器廃棄においてフロン回収作業が行われない場合が多い。 - さらに、廃棄物・リサイクル業者が廃棄された機器を引き取る際に、フロン回収作業がされているかどうかを確認する仕組みがなく(自主的取組みに頼っている)、フロンが放出されてしまっている場合もある。
- こうした状況を受けて、回収率向上のため、関係者が相互に確認・連携し、ユーザーによる機器の廃棄時のフロン類の回収が確実に行われる仕組みへの転換が必要となった。
改正の概要
1.機器廃棄の際の取組み
- ユーザーがフロン回収を行わない違反に対する 直接罰 の導入
現行 | 改正後 |
間接罰(4段階) 指導→勧告→命令→罰則 |
直接罰(1段階) ・冷媒を回収せずに機器を廃棄:50万円以下の罰金 ・行程管理票の未記録/虚偽記録/保存違反:30万円以下の罰金 ・廃棄機器を引取業者に引き渡す場合の引取証明書(写し)交付義務違反:30万円以下の罰金 |
- 廃棄物・リサイクル業者等に対して 引取証明書の交付 を義務付け
第一種特定製品の解体その他の処分を行う際は、第一種特定製品の引き取りを行う者(廃棄物・リサイクル業者等)に、
フロン回収済み証明(引取証明書)の写しの交付・保存(3年)を義務付け(法45条の2第1項~3項)
※充塡回収業者である廃棄物・リサイクル業者等にフロン回収を依頼する場合などは除く
2.建物解体時の機器廃棄の際の取組み
- 都道府県知事から関係機関又は関係地方公共団体への資料要求規定を位置づけ(建設リサイクル法解体届等の必要な資料送付の協力を求めることができる)(法93条第2項)
- 報告徴収・立入検査の対象範囲拡大(法91条、92条)
- 特定解体工事元請業者、特定解体工事元請業者の事務所又は事業所、解体工事に係る建築物その他の工作物及び解体工事の場所(令5条、6条)
- 第一種特定製品引取等実施者、第一種特定製品引取等実施者の事務所又は事業所、だ一種特定製品の引取り等を行う場所(令5条、6条)
- 解体工事発注者(ユーザー)に対して、解体業者等による第一種特定製品の設置の有無に関する説明に使用した書面(事前説明書類)の写しの保存 を義務付け(法42条) 等
3.機器が引き取られる際の取り組み
- 廃棄物・リサイクル業者等が機器の引取り時に、フロン回収済み証明(引取証明書)の写しを確認できない機器の引取りを禁止(法45条の2第4項)
※廃棄物・リサイクル業者等が充塡回収業者としてフロン回収を行う場合などは除く
4.その他
継続的な普及・啓発活動の推進のため、都道府県における関係者による協議会規定の導入 等
(出典:環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の概要」)
スケジュール
【公布】2019年6月5日
【施行】2020年4月1日
※2019年10月4日公布「フロン類の仕様の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」により、施行日が決定。
出典
○環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について」/2019年3月19日
○経済産業省「「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」/2019年3月19日