毒劇物を含む化合物・試薬の保管管理サービスに関する「毒物及び劇物取締法」の取扱いが明確に~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~

毒物劇物取締法について、「グレーゾーン解消制度(※1)」を活用した経済産業省所管の事業分野の企業からの照会に対して、回答が行われた。

※1「グレーゾーン解消制度」とは、企業の個々の事業内容に即して規制改革を進めていくことを狙いとして創設された制度。事業者が現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、安心して新事業活動を行う得るよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ、規制の適用の有無を確認できる制度。

《「グレーゾーン解消制度」の活用結果》
製薬企業等の研究所においてコストを要している毒劇物を含む化合物、試薬の保管管理業務を受託するサービスを検討している事業者(照会者)から、当該サービスが「毒物及び劇物取締法」第3条の禁止規定(※2)に該当するか否か照会があった。

照会のあった以下の3点に関して、関係省庁が検討を行った結果、毒物及び劇物取締法第3条の禁止規定に該当しないことが明らかになった。

(1)本サービスの利用者が、自らが所有する自家消費用の毒劇物について、運送事業者、照会者又は保管場所提供者にその運搬又は貯蔵を委託すること。

(2)本サービスの利用者が、当該毒劇物については利用者自身の試験研究のために自家消費する目的である旨を契約書等で明確にした上で、当該毒劇物の秤量・分注・溶液化・プレート化等の製造行為や管理業務を、照会者又は保管場所提供者に行わせること。

(3)当該毒劇物の保管管理を受託した照会者が、当該毒劇物については本サービスの利用者自身の試験研究のために自家消費する目的である旨を契約書等で明確にした上で、当該毒劇物の秤量・分注・溶液化・プレート化等の製造行為の一部を、利用者の了解の下に第三者に再委託すること。

なお、上記の者は、製造業、販売業の登録を受けない場合においても、毒物又は劇物を業務上取り扱うものとして課される規定を遵守することが求められる。

上記のとおり、毒物及び劇物取締法上、自らが所有する自家消費用の毒劇物を含む化合物・試薬について、保管管理のアウトソースが可能であることが明らかになり、我が国の創薬等の研究開発における競争力向上に資することが期待される。

※2「毒物及び劇物取締法」第3条 禁止規定
製造業、販売業の登録を受けたものでなければ、毒劇物の販売又は授与の目的で、それぞれ製造、貯蔵・運搬等を行ってはならない。

【出典】経済産業省 http://www.meti.go.jp/press/2016/02/20170215001/20170215001.html