公布・施行「自然公園法施行規則の一部を改正する省令」

2019年9月30日、「自然公園法施行規則の一部を改正する省令」が公布され、同日に施行された。国立公園事業として分譲型ホテル及び企業保養所を認可することに関連し、自然公園法施行規則をはじめ、関係通知類の一部を改正したもの。

宿泊施設の多様化により国立公園を訪れる外国人観光客を増やすのが狙い。

国立公園では、優れた自然風景を保護するため各種の行為が規制されている。行為を行う場合は、公園計画(保護規制計画)に基づいて指定された地域の種類によって、自然公園法に基づく申請又は届出の手続が必要となる。
(例)国立公園内で国立公園事業として宿舎事業を行う場合、環境大臣の認可が必要。その後、建物の増改築を行う場合や事業を廃止しようとする場合にも環境大臣の承認が必要。

背景・趣旨

これまで分譲型ホテル(コンドホテル及び会員制ホテル)及び企業保養所(分譲型ホテル等)について、国立公園利用者に対する公平な利用機会の提供ができないという理由から、国立公園事業として認可等の対象とされていなかった。

しかし、近年の建設コストの高騰等による分譲型ホテル導入のニーズの高まり等を踏まえ、国立公園内における上質な宿泊体験の提供や賑わいが失われている地域の再活性化等が期待されていることから、要件に合致する分譲型ホテル等を国立公園事業として認可等することとし、自然公園法施行規則を始め関係通知類の一部が改正された。

改正内容
1.自然公園法施行規則の改正

自然公園法施行規則第2条第3項各号に掲げる国立公園事業の執行の協議書又は認可の申請書に添付する書類として、分譲型ホテル等が審査基準へ適合していることを確認できる書類を添付させることとするための項を追加する。

改正後 改正前
(国立公園事業の執行の協議又は認可の申請)
第2条(略)
2 (略)
3 法第10条第5項に規定する環境省令で定める書類は、次の各号に掲げるものとする。ただし、運輸施設に関する国立公園事業にあっては、第七号、第八号及び第十一号に掲げる書類を、公共団体が執行する公園施設に関する国立公園事業にあっては、第一号、第二号、第六号から第八号まで及び第十二号に掲げる書類を除く。
一~八 (略)
 令第一条第三号に掲げる宿舎に関する国立公園事業であつて、特定の者の優先的な使用を確保する仕組みを設けるものにあつては、当該仕組み及び当該事業の執行による国立公園の保護又は利用の増進の内容を明らかにした書類
十~十三 (略)
(国立公園事業の執行の協議又は認可の申請)
第2条(略)
2 (略)
3 法第10条第5項に規定する環境省令で定める書類は、次の各号に掲げるものとする。ただし、運輸施設に関する国立公園事業にあっては、第七号、第八号及び第十号に掲げる書類を、公共団体が執行する公園施設に関する国立公園事業にあっては、第一号、第二号、第六号から第八号まで及び第十一号に掲げる書類を除く。
一~八 (略)
(新規)十~十二 (略)

2.通知にて設定する審査基準

自然公園法施行規則第2条第3項に新たに追加する添付書類に関連して、国立公園事業取扱要領を改正するとともに、「宿舎に関する国立公園事業に係る分譲型ホテル等の取扱いについて」(令和元年9月30日付国立公園課長通知)にて、これらの運用指針及び細部解釈を通知する。

【認可の基準】

以下①と②の両方に適合することが要件。

①以下のア・イ・ウ のいずれにも適合するもの

  • ア 特定の者が独占的に利用する客室を設けないこと
  • イ 公園施設の年間延べ宿泊可能客室数のうち、7割以上について、一般の利用者の宿泊の機会が確保されていること
  • ウ 季節性の強いエリアにおいては、ハイシーズンも、一定数の客室において、一般の利用者の宿泊の機会が確保されていること

②以下のア・イのいずれかに適合するもの

  • ア 廃業施設や休業施設が目立つエリアの再活性化や上質化に資すると判断されるもの
  • イ 風致景観の保護上支障を来している廃屋や老朽化施設の改築、増築又は建替えにより実施されるもの
国民共通の財産である国立公園内にある施設は誰もが利用できることが原則。よって、ホテル側は、繁忙期を含め年間を通して一定割合、一般客が利用できるようにしなくてはならないこととされている。

スケジュール

【公布・施行】2019年9月30日

出典

○環境省「宿舎に関する国立公園事業として分譲型ホテル等を認可等する際の審査基準の設定(省令等の改正)について」/2019年9月30日

○宿泊に関する国立公園事業として分譲型ホテル等を許可等する際の審査基準の設定(省令等の改正)について(概要)/令和元年9月・自然環境局

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