公開「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第12次報告)」

2020年3月25日「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十二次報告)」(塩化メチル及びアセトアルデヒドの健康リスク評価について並びに「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」(改定版))が公開された。

背景

中央環境審議会大気・騒音振動部会有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会では、優先取組物質(23物質)として全国的なモニタリングが実施されている有害大気汚染物質※1のうち、環境目標値(環境基準・指針値)※2が設定されていない物質について、指針値及び有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について審議され、「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第12次報告案)」として「塩化メチルに係る健康リスク評価について」・「アセトアルデヒドに係る健康リスク評価について」・「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について(改定版)」が取りまとめられた。

有害大気汚染物質対策については、大気汚染防止法に基づく優先取組物質のうち、ベンゼン・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・ジクロロメタンについて環境基準が設定されている。また、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、水銀及びその化合物、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、マンガン及びその化合物について、有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)が設定されている。(出典:環境省

※1:指針値(有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値)とは??
第七次答申により環境目標値の一つとして設定される「環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)」と規定されたもの。上記答申によれば、指針値は「有害性評価に係るデータの科学的信頼性において制約がある場合も含めて検討されたもの」であり、環境基本法第16条に基づき定められている行政目標としての環境基準とは性格及び位置付けが異なる。現に行われている「大気環境モニタリング結果等の評価に当たっての指標や事業者による排出抑制努力の指標としての機能を果たすことが期待」されている。

※2:優先取組物質・有害大気汚染物質とは??
大気汚染防止法 第2条第15項において、「「有害大気汚染物質」とは、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質で大気の汚染の原因となるもの(ばい煙、特定粉じん及び水銀等を除く。)」と定義されており、既に大気汚染防止法で規制対象となっている硫黄酸化物や塩素などの「ばい煙」と、石綿などの「特定粉じん」は除外されている。事業者の責務として「排出状況の把握及び排出抑制(第18条の 37)」が、国及び地方公共団体の施策として「大気汚染状況のモニタリング、科学的知見の充実、情報提供及び知識の普及等(第18条の38及び第18条の39)」が規定されている。
大気汚染防止法では、有害大気汚染物質の具体的な物質名は明示されておらず、1996年10月18日の中央環境審議会の答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第二次答申)」において、「有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質」「優先取組物質(有害大気汚染物質の中で有害性の程度や健康リスクがある程度高いと考えられる物質)」が示された(その後、2010年10月15日の中央環境審議会の第九次答申により改正)。
●有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質:248物質
●優先取組物質:23物質

概要
物質名 指針値案
塩化メチル 年平均値94μg/m3以下
アセトアルデヒド 年平均値120μg/m3以下

スケジュール

【公開】2020年3月25日

出典

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:結果公示案件」

○環境省 中央環境審議会>大気・騒音振動部会>有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会

○環境省「「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十二次報告案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について」/2020年2月7日