パブリックコメント「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」(国際希少野生動植物種の追加及び削除等)

2019年8月に開催された「ワシントン条約」第18回締約国会議における附属書改正の結果等を受け、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令(種の保存法施行令)の一部を改正する政令案」につきパブリックコメントが行われる(2019年9月26日~10月25日)。

※ワシントン条約:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約

具体的には、野生動植物の国際取引規制の実効性を確保するため、新たに附属書Iに掲載されたAonyx cinerea(コツメカワウソ)等16種(亜種を含む)を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で規定する「国際希少野生動植物種」として指定するとともに、附属書Iから削除されたLeporillus conditor(コヤカケネズミ)等4種を国際希少野生動植物種から削除する等の改正を行うもの。

国際希少野生動植物種とは?
国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物種(国内希少野生動植物種を除く。)であって、政令で定めるもの。ワシントン条約附属書Ⅰ掲載種(我が国が留保している種を除く)及び渡り鳥等保護条約に基づき相手国から通報のあった種を指定。今改正で「国際希少野生動植物種」への追加が予定されている「コツメカワウソ」は、日本でも人気が高く「ペット」として飼育している人もいる。しかし、このペットとしての需要の高まりが、生息国での密猟や密輸を呼ぶ原因として指摘されている。日本のカワウソ人気は、こうした違法行為を助長するものとして、国際的な批判も強まっている。

https://www.wwf.or.jp/activities/activity/3976.html(WWFジャパン)

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改正の概要

1.国際希少野生動植物種の追加(16種)

国際取引により絶滅のおそれが生じていること等により、以下の16種(亜種を含む)を、附属書Ⅰに掲載することが決定された。これを踏まえ、当該16種を、国際希少野生動植物種として追加する(施行令別表第2の表2)。

1 Aonyx cinerea
(コツメカワウソ)
9 Gonatodes daudini
(ダウディンイロワケヤモリ)
2 Lutrogale perspicillata
(ビロードカワウソ)
10 Cuora bourreti
(ラオスモエギハコガメ)
3 Balearica pavonina
(カンムリヅル)
11 Cuora picturata
(カンボジアモエギハコガメ)
4 Ceratophora erdeleni
(ケラトフォラ・エルデレニ)
12 Mauremys annamensis
(アンナンガメ)
5 Ceratophora karu
(ケラトフォラ・カル)
13 Geochelone elegans
(インドホシガメ)
6 Ceratophora tennentii
(ケラトフォラ・テンネンティイ)
14 Malacochersus tornieri
(パンケーキガメ)
7 Cophotis ceylanica
(セイロンオマキキノボリアガマ)
15 Achillides chikae hermeli
(アキルリデス・キカエ・ヘルメリ)
8 Cophotis dumbara
(コフォティス・ドゥムバラ)
16 Parides burchellanus
(パリデス・ブルケルラヌス)

2.国際希少野生動力物種の削除(4種)

下表に示す4種は、ワシントン条約第18回締約国会議において、国際取引が種の存続に対する脅威となっているか、その可能性があるという証拠がないことなどから、附属書Ⅰから削除することが決定された。以上を踏まえ、施行令別表第2の表2から、以下を削除する。

1 Leporillus conditor(コヤカケネズミ)
2 Pseudomys fieldi praeconis(シャークベイネズミ)
3 Xeromys myoides(クマネズミモドキ)
4 Zyzomys pedunculatus(マクドネルイワネズミ)

3.既存の国際希少野生動植物種(2種)における一部の個体群の運用の変更

現在、国際希少野生動植物種に指定されている種のうち、一部の個体群について個体数の増加が認められること等から附属書Ⅰから附属書Ⅱに移行したものについて、これらの個体群を、登録を受ければ国内で流通させることができるものとして、以下のとおり、登録対象個体群に追加する(施行令別表第6)。

<今回追加等する登録対象個体群(下線・取り消し線部分が変更箇所)>

種名 個体群 個体等
Vicugna vicugna(ビクーナ) アルゼンチンのカタマルカ県、フフイ県、ラ・リオハ県、サルタ県及びサン・ホアン県、ボリビア、チリのアリカ・パリナコタ州及びタラパカ州、エクアドル並びにペルーの個体群(アルゼンチンのラ・リオハ県、サルタ県又はサン・ホアン県の個体群にあっては、半ば人の管理下に置かれた個体群に限る。) 毛、毛を材料として製造された加工品(皮を材料として製造されたものを除く。)
Crocodylus acutus(アメリカワニ) コロンビアのシスパタ湾マングローブ統合管理地区及びキューバ及びメキシコの個体群 個体、加工品

4.分類・学名等の変更

ワシントン条約第18回締約国会議で承認された最新の分類・学名及び和名に関する最新の知見等に基づき、施行令別表第2の表2の分類、学名及び和名の変更並びに別表内の配列について、所要の見直しを行う。

スケジュール

【パブリックコメント】2019年9月26日~10月25日

出典

○環境省「「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)について」/2019年9月26日

○環境省「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令案の概要」

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:意見募集中案件」