公布「特定のプラスチック製品の環境への影響の低減に関するEU指令 2019/904(欧州議会・理事会)」

2019年6月12日「特定のプラスチック製品の環境への影響の低減に関するEU指令 2019/904」が公布された。2019年7月2日に施行される。

使い捨てプラスチック製品、酸化型分解性プラスチック、漁具について、消費削減、上市禁止、製品要件、表示要件、拡大生産者責任、分別回収などが規定されている。

EU加盟国は2021年7月3日までに指令に対応した国内法を整備することが求められる。

要求事項(主なもの)

1.消費削減(第4条)

  • 以下の使い捨てプラスチック製品の国内削減目標を設定する
  • 以下の使い捨てプラスチック製品について、販売時に代替製品を利用できるようにするか、無料で提供できないようにする

【対象となる使い捨てプラスチック製品】
・飲料カップ

・食品容器

2 .上市の制限(第5条)

  • 以下の使い捨てプラスチック製品の上市を禁止する。

【対象となる使い捨てプラスチック製品】
・綿棒
・カラトリー(フォーク、ナイフ、スプーン等)
・皿
・ストロー
・マドラー
・風船の取付棒
・発泡スチロール製の飲料カップ・食品容器・飲料容器
・酸化型分解性プラスチック製品

酸化型分解性プラスチック:太陽の光や熱を受けると添加剤の作用により数か月程度の期間で崩壊し細片化されるプラスチックの総称。生分解性はないため、マイクロプラスチックとして環境中に長期間残留することが懸念されている。


3.製品設計要件(第6条)

  • 以下の使い捨てプラスチック製品について、容器を利用する際に、キャップが容器本体から離れない構造とする
  • 以下の使い捨てプラスチック製品について、再生プラスチック含有率を設定する(2025年までに25%、2030年までに30%)

【対象となる使い捨てプラスチック製品】
・飲料容器(キャップつき)

4.マーキング(表示)要件(第7条)

  • 以下の使い捨てプラスチック製品について、「製品中にプラスチックが含まれていること」「適切な廃棄方法の情報」「不適切な廃棄方法が環境へ及ぼす影響」を、製品自体又はその包装上に表示しなければならない。

【対象となる使い捨てプラスチック製品】
・生理用品
・ウェットティッシュ
・たばこのフィルター
・飲料カップ

5.拡大生産者責任(EPR)(第8条)

以下の使い捨てプラスチック製品の再利用・廃棄を含む製品のすべてのライフサイクルにおいて、生産者に責任を課す、拡大生産者責任制度を設ける。

【対象となる使い捨てプラスチック製品】
・飲料カップ
・食品容器
・風船
・飲料容器
・ウェットティッシュ
・たばこのフィルター
・包装材
・買物袋
・漁具

6.分別収集(第9条)

  • 以下の使い捨てプラスチック製品について、分別収集目標を達成するために必要な措置を講じる。(2025年までに77%、2029年までに90%/重量換算)

【対象となる使い捨てプラスチック製品】
・飲料容器(PETボトル)で、プラスチック製のキャップ・蓋が付いているもの

スケジュール
【公布】2019年6月12日
【施行】2019年7月2日

【加盟国の国内法への置換】2021年7月3日

出典

○欧州委員会ホームページ

○国立国会図書館 外国の立法No.282「EUの海洋ごみ対策及び循環経済への転換に向けた取組-特定のプラスチック製品による環境への影響を低減する指令-」

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