公布「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」(国内希少野生動植物種の指定等)

2019年1月18日、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」が公布され、2月6日に施行される。

本政令は、エラブオオコウモリ等36種の国内希少野生動植物種(※1)(うち特定第一種国内希少野生動植物種(※2)7種)への追加等を行うもの。

(※1)国内希少野生動植物種
環境省が実施する生息状況調査によりその指定に必要な生息情報が把握できた種のうち、我が国に生息・生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるもの。捕獲・採取、譲渡し等を原則禁止。必要に応じ生息地等保護区の指定や保護増殖事業を実施することにより、種の保存を図っている。現在ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ等259種の動植物を指定。
(※2)特定第一種国内希少野生動植物種
国内希少野生動植物種のうち、繁殖技術が確立されており、その流通を認めたとしても種の保存に影響を及ぼさないと認められるものについては、特定国内希少野生動植物種として、事前に届出を行った事業者による商業的取引を認めている。現在、ハナシノブ、キタダケソウ、ナンバンカモメラン等35種の植物を指定。

改正の概要

(1)国内希少野生動植物種の指定(36種)

以下36種について、新たに国内希少野生動植物種として指定する。

1 Pteropus dasymallus dasymallus
(エラブオオコウモリ)
19 Lonicera kurobushiensis
(クロブシヒョウタンボク)
2 Murina ryukyuana
(リュウキュウテングコウモリ)
20 Lonicera uzenensis
(ウゼンベニバナヒョウタンボク)
3 Myotis yanbarensis
(ヤンバルホオヒゲコウモリ)
21 Triosteum pinnatifidum
(ホザキツキヌキソウ)
4 Oceanodroma castro
(クロコシジロウミツバメ)
22 Aster asagrayi var. walkeri
(ヨナクニイソノギク)
5 Puffinus bryani
(オガサワラヒメミズナギドリ)
23 Polystichum lonchitis
(ヒイラギデンダ)
6 Goniurosaurus kuroiwae sengokui
(ケラマトカゲモドキ)
24 Eriocaulon seticuspe
(ヒュウガホシクサ)
7 Odorrana utsunomiyaorum
(コガタハナサキガエル
25 Geranium shikokianum var. yoshiianum
(ヤクシマフウロ)
8 Hynobius tosashimizuensis
(トサシミズサンショウウオ)
26 Crotalaria uncinella
(エダウチタヌキマメ)
9 Cobitis striata hakataensis
(ハカタスジシマドジョウ)
27 Intsia bijuga
(タシロマメ)
10 Cobitis takenoi
(タンゴスジシマドジョウ)
28 Fritillaria kaiensis
(カイコバイモ)
11 Gymnogobius nakamurae
(コシノハゼ)
29 Peristylus lacertifer
(タコガタサギソウ)
12 Oryctes hisamatsui
(ヒサマツサイカブト)
30 Piptatherum kuoi
(イネガヤ)
13 Rhyothemis severini
(ハネナガチョウトンボ)
31 Tomophyllum sakaguchianum
(キレハオオクボシダ)
14 Paratya boninensis
(オガサワラヌマエビ)
32 Pteris formosana
(タイワンアマクサシダ)
15 Paraleptuca boninensis
(オガサワラベニシオマネキ)
33 Ranunculus pygmaeus
(クモマキンポウゲ)
16 Sagittaria natans
(カラフトグワイ)
34 Thalictrum uchiyamae
(ムラサキカラマツ)
17 Polyalthia liukiuensis
(クロボウモドキ)
35 Randia sinensis
(ヒジハリノキ)
18 Arisaema kawashimae
(トクノシマテンナンショウ)
36 Triumfetta procumbens var. glaberrima
(ケナシハテルマカズラ)

(2)特定第一種国内希少野生動植物種の指定(7種)

上記(1)で指定する36種のうち、以下7種については、特定第一種国内希少野生動植物種の指定要件を満たすため、特定第一種国内希少野生動植物種に指定する。

※今回指定される特定国内希少野生動植物種の個体等の譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業を行っている者が、法第30条に基づき義務づけられている特定国内種事業の届出を行う場合は、施行日から30日を経過する日までの間に行えばよいこととする経過措置を設ける。

16 Sagittaria natans (カラフトグワイ)
18 Arisaema kawashimae (トクノシマテンナンショウ)
22 Aster asagrayi var. walkeri (ヨナクニイソノギク)
24 Eriocaulon seticuspe (ヒュウガホシクサ)
25 Geranium shikokianum var. yoshiianum (ヤクシマフウロ)
28 Fritillaria kaiensis (カイコバイモ)
34 Thalictrum uchiyamae (ムラサキカラマツ)

(3)採取等の禁止の対象となる卵及び種子の追加(9種)

上記(1)で指定する36種のうち、以下9種の卵又は種子は、採取等の対象となるおそれがあることから、採取等規制の対象とする。

<卵>

4 Oceanodroma castro (クロコシジロウミツバメ)
5 Puffinus bryani (オガサワラヒメミズナギドリ)
6 Goniurosaurus kuroiwae sengokui (ケラマトカゲモドキ)
7 Odorrana utsunomiyaorum (コガタハナサキガエル)
8 Hynobius tosashimizuensis (トサシミズサンショウウオ

<種子>

26 Crotalaria uncinella (エダウチタヌキマメ)
30 Piptatherum kuoi (イネガヤ)
34 Thalictrum uchiyamae (ムラサキカラマツ)
36 Triumfetta procumbens var. glaberrima (ケナシハテルマカズラ)

(4)国内希少野生動植物種の削除(2種)

国内希少野生動植物種に指定されている種のうち、以下2種について、環境省レッドリスト2018において絶滅(EX)とされたため、国内希少野生動植物種から削除する。

1 Falco peregrinus furuitii (シマハヤブサ)
2 Luscinia komadori subrufus (ウスアカヒゲ)

スケジュール

【公布】2019年1月28日
【施行】2019年2月6日

出典

○環境省「「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)について(国内希少野生動植物種の指定等)」/2018年12月27日

○環境省「「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定について(国内希少野生動植物種の指定等)」/2019年1月15日

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:結果公示案件」