フロン排出抑制法では、フロン類使用製品の低GWP(地球温暖化係数)・ノンフロン化を進めるため、家庭用エアコンなどの製品(指定製品)の製造・輸入業者に対して、温室効果低減のための目標値を定め、製造・輸入業者ごとに出荷する製品区分ごとに加重平均で目標達成を求める「制定製品制度」を規定している。
今回、「指定製品」の要件を見直し、指定製品から除外されていたものを、指定製品の対象に追加する省令改正が行われた。
「経済産業省関係フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行規則」3条では、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)13条1項に基づき、主務大臣が使用フロン類の環境影響度の低減に関する勧告・命令をすることが可能な指定製品の要件(種類・生産/輸入量)を定めている。
これまでは、業務用エアコンディショナーについては、上記要件から除外されていたが、指定製品を追加するべきとの方針がまとまったため、以下2製品を、指定製品の対象に追加する省令改正を行う。
① 1日の冷凍能力(高圧ガス保安法第5条第3項の規定に基づき算定されたものをいう)が3トン以上のもの
② 中央方式エアコンディショナー(冷凍機により熱媒体等を冷却し、当該熱媒体等を配管の中で循環させることにより空気調和を行う方式のものであって、蒸発器の出口における熱媒体等の温度の下限値が摂氏マイナス十度以上のもの。)のうち遠心式の圧縮機を用いるもの
フロン排出抑制法 12条第1項は、法13条第1項の勧告・命令の判断基準となるべき事項を定める旨を規定しており、これに基づき、エアコンディショナーについては、「エアコンディショナーの製造業者等の判断の基準となるべき事項」を規定している。
上記のとおり、省令の改正によって、指定製品の要件が追加されることに伴い、同告示において、今回追加される指定製品の環境影響度の目標値(GWP:地球温暖化係数)及び目標年度を以下のとおり定める。
- 上記「1.①」:(目標値)750 (目標年度)2023
- 上記「1.②」:(目標値)100 (目標年度)2025
上記を踏まえた、指定製品の区分・目標値・目標年度は以下のとおり。
※赤字が改正された箇所
指定製品の区分 | 環境影響度の 目標 |
目標年度 |
家庭用エアコンディショナー(壁貫通型等を除く) | 750 | 2018 |
店舗・事務所用エアコンディショナー(床置型等を除く) 1日の冷凍能力が3トン未満のもの |
750 | 2020 |
店舗・事務所用エアコンディショナー(床置型等を除く) 1日の冷凍能力が3トン以上のもの |
750 | 2023 |
店舗・事務所用エアコンディショナー(床置型等を除く) 中央方式エアコンディショナーのうち遠心式の圧縮機を用いるもの |
100 | 2025 |
自動車用エアコンディショナー (乗用自動車(定員11人以上のものを除く)に掲載されるものに限る) |
150 | 2023 |
コンデンシングユニットおよび定置式冷凍冷蔵ユニット (圧力機の定格出力が1.5kW以下のもの等を除く) |
1500 | 2025 |
中央方式冷凍冷蔵機器 (5万㎥以上の新設冷凍冷蔵庫向けに出荷されるものに限る) |
100 | 2019 |
硬質ウレタンフォームを用いた断熱材 (現場発泡用のうち住宅建材用に限る) |
100 | 2020 |
専ら噴射剤のみを充塡した噴霧器 (不燃性を要する用途のものを除く) |
10 | 2019 |
(1)国内において大量に使用され、相当量のフロン類が使用されていること
(2)転換候補となる代替技術があること(以下の4点に留意して判断)
・安全性
・経済性
・性能(エネルギー消費性能を含む)
・新たな技術開発・商品化の見通し
【公布・施行】2019年1月16日
※ただし、2019年10月1日までは、改正前の製品の区分ごとに、第3の表に掲げる事項を表示できるものとする。