公布「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」等

改正廃棄物処理法(公布:2017年6月16日)に伴い、改正法の実施に係る必要な措置を講ずるため、関係する政省令が改正された。

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2017年6月16日「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律」が公布された。 2016年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売事案の発生、及び鉛等の有害物質を含む、電気電子機器等のスクラップ(雑品スクラップ)等の保管等による生活環境保全上への影響発生を背景...

改正された政令等
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(公布:2018年1月31日)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(公布:2018年1月31日)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(公布:2018年2月22日)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第十六条の二第一号から第四号までに掲げる機器が有害使用済機器となったものの再生又は処分の方法として環境大臣が定める方法(公布:2018年3月12日)

改正の概要

1.改正法の施行期日

  • 2018年4月1日
    ※電子マニフェストの一部義務化関係(同法附則第1条第2項に掲げる規定)の施行期日は、2020年4月1日とする(下記2項)

2.電子マニフェスト使用の一部義務化 ※2020年4月1日施行

  • 電子マニフェスト使用義務の対象者

(法第12条の5第1項等)(規則第8条の31の2、規則第8条の31の3)

前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物除く)の発生量が50トン以上の事業場から特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物除く)の処理を委託する場合、電子マニフェスト使用義務対象となる。
※当該事業場から、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物除く)以外の産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、当該産業廃棄物については電子マニフェストの使用義務の対象とはならない。

法参照条文(電子情報処理組織の使用)
第十二条の五 第十二条の三第一項に規定する事業者であって、その事業活動に伴い多量の産業廃棄物(その運搬又は処分の状況を速やかに把握する必要があるものとして環境省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)を生ずる事業場を設置している事業者として環境省令で定めるもの(以下この条において「電子情報処理組織使用義務者」という。)は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合(第十二条の三第一項に規定する環境省令で定める場合及び電気通信回線の故障の場合その他の電子情報処理組織を使用して第十三条の二第一項に規定する情報処理センター(以下この条において単に「情報処理センター」という。)に登録することが困難な場合として環境省令で定める場合を除く。)には、運搬受託者及び処分受託者(その使用に係る入出力装置が情報処理センターの使用に係る電子計算機と電気通信回線で接続されている者に限る。以下この条において同じ。)から電子情報処理組織を使用し、情報処理センターを経由して当該産業廃棄物の運搬又は処分が終了した旨を報告することを求め、かつ、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物を引き渡した後環境省令で定める期間内に、電子情報処理組織を使用して、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を情報処理センターに登録しなければならない。この場合において、当該電子情報処理組織使用義務者は、運搬受託者及び処分受託者から報告することを求め、かつ、情報処理センターに登録したときは、第十二条の三第一項の規定にかかわらず、当該運搬受託者又は処分受託者に対し管理票を交付することを要しない。

3.二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例の創設

  • 二以上の事業者の一体的な経営の基準

(法第12条の7)(規則第8条の38の2)

当該二以上の事業者のいずれか一の事業者(親会社)が、当該二以上の事業者のうち他の事業者(子会社)の全てについて、次のいずれかに該当すること。
(1)子会社の発行済株式の総数、出資口数の総数又は出資価額の総額を保有している
(2)次のいずれにも該当
①子会社の発行済株式の総数、出資口数の総数又は出資価額の総額の3分の2以上に相当する数又は額の株式又は出資を保有している
②役員又は職員を、子会社の業務を執行する役員として派遣している

③子会社は、かつて同一の事業者であって、一体的に廃棄物を適正に処理していた
※親会社と孫会社(子会社が支配関係を有する法人)の関係は、議決権保有割合の要件を満たしていないことから認定の対象とならない。

  • 帳簿の記載・保存義務

(法第12条の7)(令第6条の4、規則第8条の5)

二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例の認定を受けた者(認定事業者)は、当該認定に係る収集、運搬又は処分の状況を把握できるよう、帳簿を備え、規則第8条の5第1項各号に掲げる事項を記載するとともに、これを保存する。

  • 廃止の届出

(法第12条の7)(令第6条の7の2、規則第8条の38の10)

認定事業者は、当該認定に係る収集、運搬、処分若しくは再生の全部又は一部を廃止したときは、共同して、当該廃止の日から10日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならないものとする。

法参照条文(二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例)
第十二条の七 二以上の事業者がそれらの産業廃棄物の収集、運搬又は処分を一体として実施しようとする場合には、当該二以上の事業者は、共同して、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、当該産業廃棄物の収集、運搬又は処分を行おうとする区域(運搬のみを行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の認定を受けることができる。
一 当該二以上の事業者のいずれか一の事業者が当該二以上の事業者のうち他の全ての事業者の発行済株式の総数を保有していることその他の当該二以上の事業者が一体的な経営を行うものとして環境省令で定める基準に適合すること。
二 当該二以上の事業者のうち、それらの産業廃棄物の収集、運搬又は処分を行う者が、産業廃棄物の適正な収集、運搬又は処分を行うことができる事業者として環境省令で定める基準に適合すること。
2 前項の認定を受けようとする者は、共同して、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事(同項に規定する都道府県知事をいう。以下この条において同じ。)に提出しなければならない。
一 当該二以上の事業者の名称及び住所並びに代表者の氏名
二 当該二以上の事業者全てについての議決権保有割合(一の事業者が保有する他の事業者の議決権の数を当該他の事業者の総株主の議決権の数で除して得た割合をいう。)に関する事項
三 当該二以上の事業者に係る産業廃棄物の収集、運搬又は処分の実施体制に関する事項
四 その他環境省令で定める事項
3~6 (略)
7 第1項の認定を受けた者は、第2項各号に掲げる事項の変更をしようとするときは、共同して、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の認定を受けなければならない。
ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
8 (略)
9 第1項の認定を受けた者は、第7項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、共同して、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
10 (略)
11 前各項に規定するもののほか、第1項の認定及び第7項の変更の認定に関し必要な事項は、政令で定める

4.有害使用済機器の保管等

  • 有害使用済機器の定義

(法第17条の2)(令第16条の2)

【有害使用済機器】
ユニット形エアコンディショナー、電気冷蔵庫及び電気冷凍庫、電気洗濯機及び衣類乾燥機、テレビ(プラズマ・液晶・ブラウン管)、電動ミシン、電気グラインダー・電気ドリルその他の電気工具等32種類

  • 適正な有害物質使用済機器の保管を行うことができる者(届出義務の適用除外)

(法第17条の2)(規則第13条の2)

【適正な有害物質使用済機器の保管を行うことができる者(届出義務の適用除外)】
法令に基づき環境保全上の措置が講じられ、環境汚染のおそれがないと考えられる者(廃棄物処理業者や家電リサイクル法や小型家電リサイクル法の認定業者等の内の一部の事業者等)
行政機関
有害使用済機器の保管量が少ないこと等により、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれが少ないと考えられる者(事業場の敷地面積 100m2未満の者)
本業に付随して有害使用済機器の保管のみを一時的に行う場合

  • 有害使用済機器の保管及び処分(再生含む)の基準

(法第17条の2)(令第16条の3、規則第13条の5~10)

【保管・処分の基準】
有害使用済機器の内部には、有害物質や油などが含まれており、不適正な保管や処分を行った場合、有害物質等の周辺環境への飛散・流出や、発生した汚水等による周辺土壌又は公共用水域等の汚染などが懸念されるほか、不適正な保管及び処分による火災の発生のおそれがあるため、「囲いの設置」「有害使用済機器の保管場所である旨を記載した掲示板の設置」「飛散・流出・地下浸透防止」「保管時の火災防止」等の基準が定められた。

  • 届出に係る手続

(法第17条の2)(規則第13条の3~4)

有害物質使用済機器保管事業者は、有害物質使用済機器の保管又は処分を開始する日の10日前までに、規則第13条の3第1項各号に掲げる事項を記載した届出書を都道府県知事に届け出なければならないものとする(届け出た事項を変更しようとするときも同様)。

  • 有害使用済機器保管等事業者が備えるべき帳簿

(法第17条の2)(規則第13条の12)

有害使用済機器保管等事業者は、有害使用済機器の保管等に関する帳簿を備え付け、規則第13条の12第1項の表に掲げる事項を記載する。また、帳簿は、事業場ごとに備え、毎月末までに記載を完了することとし、1年ごとに閉鎖し、事業場ごとに5年間保存することとする。

法参照条文(有害使用済機器の保管等)
第十七条の二 使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く。)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を省ずつおそれがあるものとして政令で定めるもの(以下この条及び第三十条第六号において「有害使用済機器」という。)の保管又は処分を業として行おうとする者(適正な有害使用済機器の保管を行うことができるものとして環境省令で定める者を除く。次項において「有害使用済機器保管等業者」という。)は、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
2 有害使用済機器保管等業者は、政令で定める有害使用済機器の保管及び処分に関する基に従い、有害使用済機器の保管又は処分を行わなければならない。
3 (略)
4 環境大臣は、第一項の適正な有害使用済機器の保管を行うことができる者を定める環境省令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、有害使用済機器になる前の機器を所管する大臣に協議しなければならない。
5 有害使用済機器になる前の機器を所管する大臣は、必要があると認めるときは、環境大臣に対し、第一項の適正な有害使用済機器の保管を行うことができる者を定める環境省令を定め、又はこれを変更することを求めることができる。
6 前各項に定めるもののほか、有害使用済機器の保管又は処分に関し必要な事項は、政令で定める

「有害使用済機器の保管等に関するガイドライン(第1版)ver1.1」
https://www.env.go.jp/recycle/waste/used/guideline.pdf

5.事業の廃止等に伴う通知等の義務付け

  • 通知は、当該処理を終了していない産業廃棄物に係る委託契約を締結している排出事業者等の全てに対し、当該事業の全部若しくは一部を廃止した日又は許可を取り消された日から10日以内に、当該事由が生じた年月日及び当該事由の内容を明らかにした書面又は電子ファイルを送付することにより行うこと。

(法第14条の2第4項等)(規則第10条の10の4及び第10条の10の6等)

  • 通知をしたときは、当該通知の日から5年間、通知の写しを保存すること。

(法第14条の2第4項等)(規則第10条の10の5及び第10条の10の7等)

法参照条文(変更の許可等)
第十四条の二 (略)
2・3 (略)
4 産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業の全部又は一部を廃止した者であつて当該事業に係る産業廃棄物の収集、運搬又は処分を終了していないものは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、事業の全部又は一部を廃止した旨を当該収集、運搬又は処分を終了していない産業廃棄物の収集、運搬又は処分を委託した者に書面により通知しなければならない。

5 前項の規定による通知をした者は、当該通知の写しを当該通知の日から環境省令で定める期間保存しなければならない。

出典

○環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に対する意見の募集(パブリックコメント)について」/2017年11月14日

○環境省「「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」等の閣議決定について」/2018年1月26日

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:結果公示案件」

○環境省「平成29年改正廃棄物処理法について」

○「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(通知)」平成30年3月30日

○環境省「有害使用済機器の保管等に関するガイドライン(第1版)ver1.1」平成30年3月