申請者(船舶の所有者、運航者、造船所、船舶を利用する荷主等)の希望に応じ、国土交通省が内航船の環境性能を「見える化」(評価)する制度「内航船省エネルギー格付制度」の本格運用を開始した。
本制度の普及等を通じて、地球温暖化対策計画における内航海運のCO2排出量削減目標(2030年度において、2013年度比157万t-CO2削減)の達成を目指す。
★(記事更新)2020年5月28日
本格運用後初めての格付け(最高ランク2隻)が行われた。
「地球温暖化対策計画(2016年5月閣議決定)」で掲げられた内航海運のCO2排出量削減目標として「2030年度に2013年度比で157万t-CO2削減」することが掲げられている。
しかし、規模の小さい事業者が多い内航海運においては、実際の省エネ・省CO2効果が把握できず、省エネ・省CO2設備への投資に踏み切れない事業者が多いのが現状。
そこで、内航船舶について省エネ・省CO2設備への投資環境を整備するため、省エネ・省CO2効果を船舶の企画・設計段階で「見える化」し、船舶の省エネ・省CO2性能を客観的に評価する制度を、2017年7月より暫定的に開始し、2018年9月末時点で19件の格付けを付与している。
今回、これを本格運用することとなった。
Ⅰ.格付制度
海運事業者等(船舶の所有者、運航者、造船所、船舶を利用する荷主等)からの申請に基づき、国土交通省海事局が省エネ・CO2排出削減対策の導入による船舶のCO2排出削減率(省CO2効果)を評価し、その結果を格付として表す。
格付の対象は船舶であり、一隻の船舶につき、一つの格付を付与する。
具体的な計算方法は、「内航船省エネルギー格付制度計算要領(ハード対策)」で定める。
Ⅱ.格付評価の基準
「内航船省エネルギー格付制度計算要領(ハード対策)」で示す計算方法で算出された改善率(基準値よりも何%改善したか)に応じて、以下のとおり星1つ(★)~5つ(★★★★★)で評価する。
改善率 | 0%以下 | 0%~5% 未満 |
5%以上 10%未満 |
10%以上 15%未満 |
15%以上 20%未満 |
20%以上 |
評価段階 | 評価無し | ★ | ★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
Ⅲ.ロゴマーク
格付を取得した事業者は、船体、名刺、企業ホームページ等で申請船の格付に応じて、ロゴマークを使用することができる。
これにより、環境対策に関心のある荷主や消費者へ、環境性能のよい船舶を建造、運航していること等PRが行いやすくなることが期待されている。また、国土交通省において、高い格付の船舶及び申請事業者が定期的に公表される予定。
(出典)国土交通省「内航船省エネルギー格付制度事務取扱要領」
Ⅳ.計算方法
船舶の省エネルギー性能の評価には、1トンの貨物を1マイル運ぶのに必要なCO2排出量を意味するEEDI(※)を用いる。
水槽試験を実施しない等のためEEDIが算出できない場合等は、船舶が1マイル航行するために排出する単位排水量トン当たりの二酸化炭素の排出量で評価を行う代替手法を用いる。
(※)EDDI:MARPOL条約に規定するエネルギー効率設計指標 Energy Efficiency Design Index
【本格運用】2020年3月27日
○「内航船省エネルギー格付制度の本格運用を開始します」/国土交通省