「今後の石綿飛散防止の在り方」について、中央環境審議会会長から環境大臣へ答申が行われた。
今後の石綿飛散防止の在り方は、「中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会」において、一層の石綿飛散防止対策の強化 のため、規制内容が近い労働安全衛生法や、建築物関連法令等との連携を念頭に、大気汚染防止法における規制について検討が行われてきた。
2013年の大気汚染防止法改正により石綿の飛散防止が強化されたが、当該改正に向けた「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」においては、引き続き検討が必要な課題が示されている。
また、近年、解体工事前の調査時における石綿含有建材の見落としや、除去作業時の石綿含有建材の取り残しといった不適切な事例が確認されており、2016年には、総務省による行政評価・監視結果に基づく勧告において、こうした課題が指摘されている。
これらを踏まえ、2018年8月、環境大臣より中央環境審議会会長に対して、「今後の石綿飛散防止の在り方」について諮問し、この検討を行うため、大気・騒音振動部会に「石綿飛散防止小委員会」が設置され、検討が行われてきた。
特定建築材料以外の石綿含有建材の除去等作業の際の石綿飛散防止、事前調査の信頼性の確保等について取りまとめられた。
●「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申)」(PDF)
●「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申)」の概要(PDF)
1.特定建築材料以外の石綿含有建材
- いわゆるレベル3建材(成形板等)について、除去等作業時に適切に石綿の飛散を防止するため、同建材も特定建築材料に追加し、作業基準の策定、事前調査の実施等、法の規制の対象とする。
2.事前調査の信頼性の確保
- 事前調査の方法を法令で定め、一定の知見を有する者が調査を行う。また、都道府県等が適切に調査が行われたか確認するため、受注者は調査の記録を保存する。
- 都道府県等が解体等工事の現場を幅広く把握するため、労働安全衛生法と共通の電子システムにより、石綿含有建材の有無にかかわらず、受注者は一定規模等以上の工事の調査結果を報告する。
3.石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認
- 一定の知見を有する者が取り残しがないことの確認を行う。
- 都道府県等及び発注者が適切に除去等作業が行われたことを確認するため、受注者は作業の記録を保存し、発注者に作業結果の報告を行う。
4.特定粉じん排出等作業中の石綿漏えいの有無の確認
- 集じん・排気装置の排気口における粉じんの測定の頻度及び作業場所における負圧の状況の確認の頻度を増やす。
5.作業基準遵守の強化
- 立法技術上の課題も踏まえつつ、作業基準違反への直接罰の創設を検討する。
6.その他
- 災害時における石綿の飛散防止を推進するため、国や都道府県等は、所有者等による通常使用時からの建築物等への石綿含有建材の使用の把握を後押しすること等に努める。
- 国が、業界団体等と連携し、発注者、受注者、建築物等の所有者等に対する更なる普及啓発に努める。