公表「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の見直しの方向性」

厚生労働省「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」から、「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等に関する中間とりまとめ」が公表された。

石綿等が使用されている建築物の老朽化による解体等の工事は、今後も増加することが予想されていることを踏まえ、現状の石綿ばく露防止対策等の見直しの方向性をとりまとめたもの。

経緯

石綿等が使用されている建築物の老朽化による解体等の工事は、今後も増加することが予想されている。そのため、現在の技術的知見等も踏まえて、一層の石綿ばく露防止対策等の充実が求められている

こうした状況の中「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」では、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等に関する検討を行い、その結果を取りまとめて、石綿ばく露防止対策等の充実に役立てることを目的に、2018年7月から5回にわたり開催してきた。

本検討会では、引き続き石綿ばく露防止対策等に関する検討を行い、今年度末を目途に、報告書をとりまとめる予定。厚生労働省としては、報告書のとりまとめの後、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則の改正 などを検討する方針。

また、環境省の中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿発散防止小委員会においても、今後の石綿飛散防止の在り方について検討が行われており、11月14日に答申案が示されている。この答申案に盛り込まれた論点に関しても、引き続き検討が行われることとなっている。

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「中間とりまとめ」概要

●「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の見直しの方向性」(PDF)

1.(石綿使用有無に関する)事前調査の充実・強化

  • 石綿障害予防規則(石綿則)では、建築物の解体・改修工事を開始する前には、石綿の使用の有無に関する調査(事前調査)を実施することが義務づけられているが、調査を行う者の要件・調査方法・範囲は明確に規定されていない。このことから、
    • 事前調査方法の明確化(現場調査を必須とする等)
    • 事前調査を行う者の要件の新設(一定の講習を修了した者またはそれと同等以上の知識・経験を有する者)
    • 事前調査における石綿の分析を行う者の要件(一定の講習を修了した者又はそれと同等以上の知識を有する者)
    • 事前調査結果の記録(一定の期間保存)

2.事前調査結果等の届出(新設)

  • 以下の基準に該当する工事は、石綿含有の有無に関わりなく、原則として電子届により、事前調査結果等を労働基準監督署に届出なければならないこととする。
    • 解体工事部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事
    • 請負金額が100万円以上である建築物の改修工事

3.石綿等の除去作業におけるばく露防止措置の強化

  • 隔離が義務づけられている吹付石綿、石綿含有保温材等の除去作業において、除去が完了したことを確認しなければ、隔離を解いてはならないこととする。
  • 石綿等を含有するケイ酸カルシウム板1種をやむを得ず破砕する場合は、湿潤化に加えて、作業場所の周囲を隔離しなければならないこととする。

4.レベル3建材に対する措置

  • 石綿則において、いわゆるレベル3建材については、破砕を行わずに除去することを原則とするとともに、石綿等を含有するケイ酸カルシウム板第1種をやむを得ず破砕する場合は、湿潤化に加えて、作業場所の周囲を隔離(負圧までは求めず、養生シート等で囲うような措置を想定)しなければならないこととすること。 
●レベル1(飛散性):発じん性が著しく高い作業(石綿含有吹き付け材の除去作業、封じ込め、囲い込み作業)
●レベル2(飛散性):発じん性が高い作業(石綿含有保温材・断熱材・耐火被覆材の除去作業、囲い込み作業)
●レベル3:発じん性が比較的低い作業(石綿含有建材(成形板等)の除去作業)
(出典)国土交通省「目でみるアスベスト建材(第2版)」

5.作業の記録の義務化

  • 石綿等の除去作業等を行う場合に作成することが義務づけられている作業計画に基づく作業状況等について、写真等により記録を作成し、一定の期間保存しなければならないこととする。

出典

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