環境省「浄化槽リノベーション推進検討会」における検討を経て、改正浄化槽法の施行(施行:2020.4.1)に向けた、基本的方向性と具体的措置(省令事項、周知事項)をまとめた「改正浄化槽法の施行に向けた対応方針」が公表された。
改正浄化槽法では、「緊急性の高い単独処理浄化槽(特定既存単独処理浄化槽)の合併処理浄化槽への転換に関する措置」「浄化槽処理促進区域の指定」「公共浄化槽の設置に関する手続き」「浄化槽の使用の休止手続き」「浄化槽台帳の整備の義務付け」「協議会の設置」「浄化槽管理士に対する研修の機会の確保」「環境大臣の責務」に関する仕組みが新たに創設される。
1.「特定既存単独処理浄化槽」に対する措置(附則第11条)
都道府県知事は、「特定既存単独処理浄化槽(※)」に係る浄化槽管理者に対し、当該特定既存単独処理浄化槽に関し、除却その他生活環境の保全及び公衆衛生上必要な措置をとるよう助言又は指導することができることとする。相当の期限を定めて勧告・命令も可能。
<省令事項>
- 特定既存単独処理浄化槽に対する措置に関して、環境大臣が指針を定めることができるものとすること。
2.「公共浄化槽」制度の創設(法第12条の4~第12条の17)
市町村が設定する「浄化槽処理促進区域内(※)」において単独処理浄化槽を使用する住民が同意した場合には、市町村が設置する浄化槽(公共浄化槽)の使用・接続を義務化する。
<省令事項>
- 設置計画は、浄化槽法に定める水質基準及び構造基準に適合したものとするとともに、浄化槽に附帯して管路施設を設置する場合には、別途告示において定める基準に適合したものとすること。
- 設置計画には、設置場所、種類、規模及び能力、設置の予定年月日の他、放流先又は放流方法、浄化槽に附帯して管路施設を設置する場合には当該管路施設の概要を定めるものとすること。
- 設置計画を定める際の土地及び建築物の所有者の同意手続は、設置計画の概要を文書で説明し、書面により同意を得ること。
- 都道府県知事や特定行政庁の協議は、当該浄化槽に接続する建築物の用途及び延べ面積、処理対象人員及び算出根拠等を記載した書類を添付して行うこと。
- 既設の私有の浄化槽について市町村が管理しようとする時は、書面により同意を得ること。
- 排水設備の設置の承認は、接続しようとする建築物の所在地、処理対象人員等を記載した書面を提出して行うこと。
- 使用開始の届出は、使用開始年月日を記載した書面を提出して行うこと。
- 接続廃止の届出は、建築物の撤去予定年月日を記載した書面を提出して行うこと。
3.浄化槽の使用の休止及び義務の免除(法第11条の2)
浄化槽管理者が清掃をして、その使用の休止を都道府県知事に届け出た浄化槽について、保守点検、清掃及び定期検査の義務を免除する。また、浄化槽の使用の再開についての届出も規定する。
<省令事項>
- 通常の清掃とは異なる点(汚泥等の引き出しは全量、洗浄に使用した水の再利用の禁止、水道水等を使用して張り水を行うこと)について、浄化槽法施行規則第3条の清掃の技術上の基準に記載する。
- 休止の届出様式を定め、休止予定年月日(電気又は水道の使用を休止する予定年月日等)、消毒剤の撤去等を記載事項とする。届出には、清掃の記録を添付する。
- 再開の届出様式を定め、使用再開年月日等を記載事項とする。
- 再開に当たって保守点検を実施した場合には、法第10条第1項に基づく保守点検とみなす。
4.浄化槽台帳の整備(法第49条)
都道府県知事は、浄化槽に関する台帳を作成し、保管しなければならない。
<省令事項>
- 浄化槽台帳の記載事項は、法で定めた7条検査、11条検査の実施状況に加えて、設置届出年月日等の設置に関する情報、使用開始年月日や休止年月日等の使用に関する情報、保守点検の実施状況に関する事項、清掃の実施状況に関する事項、その他浄化槽の管理に関し参考となる事項とする。
- 浄化槽台帳の更新について、都道府県知事は浄化槽台帳の正確な記録を確保するよう努めること。
- 浄化槽台帳作成や管理を指定検査機関その他適正な者に委託できることを定める。
5.協議会の設置(法第54条)
地方公共団体が、地域の実情に照らして適切に対応できるよう、浄化槽の設置及び管理に関し、必要な協議を行うための協議会を組織することができることとする。
<省令事項>
- 都道府県及び市町村は、地域の実情に応じた協議会の組織構成に努めること。