公布「無害化処理認定施設等の処理対象となるPCB廃棄物の拡大に係る関係法令等の改正」

2019年12月20日「PCB廃棄物の無害化処理認定施設等の処理対象を拡大する関係法令等の改正」について公布された。

【ポイント】
今後増加していく可能性がある、PCB濃度0.5%~10%(5,000mg/kg~100,000mg/kg)の可燃性の汚染物(塗膜、感圧複写紙、汚泥等の汚染物)等の処理体制を構築するもの。

具体的には、可燃性の汚染物について100,000mg/kg(10%)までのものは、低濃度PCB廃棄物として「無害化処理認定施設」等で処理することとなる(従来は5,000mg/kg(0.5%)まで)

可燃性でない金属くずや陶磁器くずについては、これまで通りPCB濃度が0.5%を超えるものは高濃度PCB廃棄物となる。

詳細は、以下を参照。

改正の背景

「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)」では、PCB廃棄物を以下のように分類し、処理方法を分けている。

高濃度PCB廃棄物

PCB濃度5,000mg/kg(0.5%)を超えるもの。
JESCO(中間貯蔵・環境安全事業(株))における処理。

低濃度PCB廃棄物

PCB濃度5,000mg/kg(0.5%)以下のもの。
環境大臣の認定した事業者(無害化処理認定事業者)等による処理。

しかし、今後、PCB濃度 0.5%~10%(5,000mg/kg~100,000mg/kg)程度のものを含んだPCB廃棄物が増加する見込みが懸念されている。

そこで、これらを「低濃度PCB廃棄物」とし、無害化処理認定施設等の処理対象を拡大し、期限内の処理を促進しようとするもの。

改正の概要

1.ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画(変更)

PCB濃度0.5%~10%の可燃性の汚染物等について、処理体制の構築に向けた焼却実証試験の結果を踏まえ、無害化処理認定制度の対象とした。処分期間は2027年3月末。

2.廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(改正)

燃焼ガスに係る温度を850℃とする焼却施設の処理対象となる産業廃棄物を別途環境大臣が定める(注)こととしたため、産業廃棄物処理施設の技術上の基準に係る規定について所要の改正を行う。

(第12条の2第5項第一号イ及びロ、第12条の7第5項第一号)

改正後(第12条の2第5項第一号イ及びロ) 改正前(第12条の2第5項第一号イ及びロ)
イ 燃焼ガスの温度が摂氏八百度(令第七条第十二号に掲げる施設にあっては、摂氏千百度(ただし、当該施設のうち、環境大臣が定める産業廃棄物の焼却施設にあっては、摂氏八百五十度))以上の状態で産業廃棄物を焼却することができるものであること。 イ 燃焼ガスの温度が摂氏八百度(令第七条第十二号に掲げる施設にあっては、摂氏千百度(ただし、当該施設のうち、環無害化処理施設に係る特例の対象となる一般廃棄物及び産業廃棄物第二項第一号から第三号までに掲げる産業廃棄物の焼却施設にあっては、摂氏八百五十度))以上の状態で産業廃棄物を焼却することができるものであること。
ロ 燃焼ガスが、摂氏八百度(令第七条第十二号に掲げる施設にあっては、摂氏千百度(ただし、当該施設のうち、環境大臣が定める産業廃棄物の焼却施設にあっては、摂氏八百五十度))以上の温度を保ちつつ、二秒以上滞留できるものであること。 ロ 燃焼ガスが、摂氏八百度(令第七条第十二号に掲げる施設にあっては、摂氏千百度(ただし、当該施設のうち、環無害化処理施設に係る特例の対象となる一般廃棄物及び産業廃棄物第二項第一号から第三号までに掲げる産業廃棄物の焼却施設にあっては、摂氏八百五十度))以上の温度を保ちつつ、二秒以上滞留できるものであること。

※下線は変更点

(注)環境大臣が定める廃棄物は、新しく制定された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第十二条の二第五項第一号イ及びロ並びに第十二条の七第五項第一号に規定する環境大臣が定める産業廃棄物」で定める。(下記4項)

3.無害化処理に係る特例の対象となる一般廃棄物及び産業廃棄物(無害化処理認定施設等の処理対象の拡大)(改正)

廃棄物処理法第15条の4の4に基づく無害化処理に係る特例の対象となる産業廃棄物のうち、ポリ塩化ビフェニル汚染物(第2項第2号ロ及びハ)を、

5,000mg/kg(0.5%) → 100,000mg/kg(10%)に変更し、
無害化処理認定施設等の処理対象を拡大 する。

(第2項第2号ロ及びハ)

改正後 改正前
ロ 汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずのうち、当該汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずに塗布され、又は染み込んだポリ塩化ビフェニルの量が汚泥、紙くず、木くず又は繊維くず一キログラムにつき十万ミリグラム以下のもの ロ 汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずのうち、当該汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずに塗布され、又は染み込んだポリ塩化ビフェニルの量が汚泥、紙くず、木くず又は繊維くず一キログラムにつき五千ミリグラム以下のもの
ハ 廃プラスチック類のうち、当該廃プラスチック類に付着し、又は封入されているポリ塩化ビフェニルの量が廃プラスチック類一キログラムにつき十万ミリグラム以下のもの ハ 廃プラスチック類のうち、当該廃プラスチック類に付着し、又は封入されているポリ塩化ビフェニルの量が廃プラスチック類一キログラムにつき五千ミリグラム以下のもの

※下線は変更点

4.廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第十二条の二第五項第一号イ及びロ並びに第十二条の七第五項第一号に規定する環境大臣が定める産業廃棄物(新規)

上記3項の通り、「無害化処理に係る特例の対象となる一般廃棄物及び産業廃棄物」を変更したため、新たに「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第十二条の二第五項第一号イ及びロ並びに第十二条の七第五項第一号に規定する環境大臣が定める産業廃棄物」を定め規定する。

5.ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行規則(改正)

高濃度PCB廃棄物の基準・高濃度PCB使用製品のうち、可燃性のPCB汚染物の基準

100,000mg/kg(10%)に変更する。

(第4条第1項、第7条第1項)

(1)高濃度PCB廃棄物の基準となる数値(第4条第1項)
種類 数値
一 汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずその他ポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだ物が廃棄物となったもの 当該廃棄物のうちポリ塩化ビフェニルを含む部分一キログラムにつき十万ミリグラム
(※現行:5千ミリグラム)
二 廃プラスチック類のうち、ポリ塩化ビフェニルが付着し、又は封入されたもの
(新規)
当該廃プラスチック類一キログラムにつき十万ミリグラム

(新規)

 金属くず、ガラスくず、陶磁器くず又は工作物の新築、改築若しくは除去に伴って生じたコンクリートの破片その他ポリ塩化ビフェニルが付着し、又は封入された物が廃棄物となったもの 当該廃棄物に付着し、又は封入された物一キログラムにつき五千ミリグラム
※下線は変更点

(2)高濃度PCB使用製品の基準となる数値(第7条第1項)
種類 数値
一 紙、木又は繊維その他ポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだ製品 当該製品のうちポリ塩化ビフェニルを含む部分一キログラムにつき十万ミリグラム
(※現行:5千ミリグラム)
二 プラスチックにポリ塩化ビフェニルが付着し、又は封入された製品
(新規)
当該製品一キログラムにつき十万ミリグラム
(新規)
 金属、ガラス、陶磁器その他ポリ塩化ビフェニルが付着し、又は封入された製品 当該製品に付着し、又は封入された物一キログラムにつき五千ミリグラム

※下線は変更点

6.ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行規則第四条第二項及び第七条第二項の規定に基づき環境大臣が定める方法(改正)

高濃度PCB廃棄物及び高濃度PCB使用製品の判断において、環境大臣が定める方法において規定する、金属くず等以外のPCB廃棄物及びPCB使用製品の判定基準を変更する。(5,000mg/kg→100,000mg/kg)

スケジュール

基本計画…【閣議決定】2019年12月20日
関係政令…【公布・施行】2019年12月20日

出典

○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:結果公示案件」

○環境省「無害化処理認定施設等の処理対象となるポリ塩化ビフェニル廃棄物の拡大に係る関係法令等の改正について」/2019年12月20日

○環境省「無害化処理認定施設等の処理対象となるポリ塩化ビフェニル廃棄物の拡大に係る関係法令等の改正について(通知)」