公布・施行「食品廃棄物等多量発生事業者の定期の報告に関する省令の一部を改正する省令」

2019年7月12日「食品廃棄物等多量発生事業者の定期の報告に関する省令の一部を改正する省令」が公布された。

食品廃棄物等多量発生事業者の定期報告に関する様式を見直すもの。

背景

「第四次循環型社会形成推進基本計画」では、2015年9月に国連サミットで採択された2030年までの国際開発目標(SDGs)を受け、家庭系食品ロスについて、2030年までに2000年度比で半減させる目標が設定され、事業系食品ロスについては、今後、食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針において目標を設定することとされた。

このため、中央環境審議会及び食料・農業・農村政策審議会において、現行の食品リサイクル制度の施行点検を行ったところ、「食品廃棄物等多量発生事業者」の定期報告については、電子申請への移行、報告内容の見直し、食品廃棄物等の発生量及び食品循環資源の再生利用等の状況について情報の提供をしていない場合の理由が必要との意見が出された。
これらの意見を踏まえ、定期報告に関する様式を見直すこととする。

改正の概要

(1)報告書冒頭
公布日の属する年度の翌年度報告分より、システムを導入することで電子申請に移行するため、氏名欄の押印欄を削除

(2)都道府県別の食品廃棄物等の発生量及び再生利用の実施量(表6関係)
都道府県名に加え、市町村名の記載を追加し、市町村別のデータ集計ができるようにする。
食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律施行令の一部改正に合わせ、「再生利用の実施量」欄にきのこ類の栽培のために使用される固形状の培地を追加。

(3)判断の基準となるべき事項の遵守状況(表14関係)
「食品廃棄物等の発生の抑制の項目」について、以下の改正を行う。

食品の販売の過程における食品の売れ残りを減少させるための仕入れ及び販売の工夫を行うこととしていたが、仕入れ及び販売の方法の部分を削除することで、仕入れ及び販売に限らない食品の売れ残りを減少させるための工夫をすることとし、例として、需要予測精度の向上、売り切り(販売期限の見直しを含む)、フードバンクや福祉施設等への提供を追加。

食品の調理及び食品の提供の過程における調理残さを減少させるための調理方法の改善を行うこととしていたが、食品の提供の部分を削除することで、食品の調理の過程のみの調理方法の改善を行うこととし、例として、メニューの工夫を追加。

食品の調理及び食事の提供の過程における食べ残しを減少させるためのメニューの工夫を行うこととしていたが、食品の調理及びメニューの部分を削除することで、食事の提供の過程における食べ残しを減少させるための工夫をメニューの工夫に限らないこととし、例として、提供量の調整、持ち帰りを可能とすること、食べ残しが減少するよう利用者への呼びかけを行うことを追加。

フードチェーン全体での環境負荷を低減するため、サプライヤーに対して厳しい納品期限を課さないことを新設。

(4)食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令第 10条第2項の情報の提供の方法(情報を提供していない場合(事業者が取組内容等の公表に同意した場合を除く。)にあってはその理由)(新設)
食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令 第10条第2項において、「食品関連事業者は食品廃棄物等の発生量及び食品循環資源の再生利用等の状況に関する情報の提供に努める」よう規定されていること、また、昨今ESG投資が活発になり、環境対策等非財務情報の開示が求められていることから、情報の提供ができない理由を把握すること、さらに、現に情報を提供している事業者の公表方法等を把握することにより、食品関連事業者からの情報の提供を促すとともに、食品リサイクル法第8条に規定する指導及び助言を行う際の資料とするため、情報の提供方法及び提供しない場合の理由を報告対象に追加。

(5)申請の注意事項(備考欄)
・これまでは定期報告を紙媒体で提出することになっていたため、備考欄の1及び2において、用紙の大きさの指定、記入する際の文字の注意事項が明示されていたが、電子申請に移行するためこれらを削除し、これらの次の番号から1とする。

・判断の基準となるべき事項の遵守について食品関連事業者により意識してもらうため、事業者が同意した場合には事業者名、発生原単位、当該の年度の再生利用等の実施率及び取組内容を公表することになっているが、公表する内容として判断の基準となるべき事項の遵守状況を追加

・(4)の改正に伴い備考欄13において、理由の記入に関する注意事項を追加

スケジュール

【公布・施行】2019年7月12日

出典

〇電子政府の総合窓口「パブリックコメント:意見募集中案件」