「土壌の汚染に係る環境基準(土壌環境基準)及び土壌汚染対策法に基づく基準等の見直し(案)」についてパブリックコメントが行われる(2020年1月28日~2月26日)。
2020年1月17日開催「中央環境審議会土壌農薬部会(第37回)」において取りまとめられた「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について(第4次答申)」に基づき、「カドミウム及びその化合物」「トリクロロエチレン」の基準値を見直すもの。
【改正される省令・告示】
1.土壌の汚染に係る環境基準について
2.土壌汚染対策法施行規則
3.地下水に含まれる試料採取等対象物質の量の測定方法を定める件
4.土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件
●「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について(第4次答申)(令和2年1月・中央環境審議会)
●土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく基準等の見直し(案).pdf
1.土壌の汚染に係る環境基準について
第4次答申の内容を踏まえ、「カドミウム」及び「トリクロロエチレン」の土壌環境基準を見直す。
【旧】土壌の汚染に係る環境基準
項目 |
環境上の条件 |
測定方法 |
カドミウム |
検液1Lにつき0.01mg以下であり、かつ、農用地においては、米1kgにつき0.4mg以下であること。 |
環境上の条件のうち、検液中濃度に係るものにあっては、日本工業規格K0102の55に定める方法、農用地に係るものにあっては、昭和46年6月農林省令第47号に定める方法 |
トリクロロエチレン |
検液1Lにつき0.03mg以下であること。 |
日本工業規格K0125の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1又は5.5に定める方法 |
※カドミウムに係る環境上の条件のうち検液中濃度に係る値にあっては、汚染土壌が地下水面から離れており、かつ、原状において当該地下水中の濃度が地下水1Lにつき0.01mgを超えていない場合には、検液1Lにつき0.03mgとする。
【新】土壌の汚染に係る環境基準
項目 |
環境上の条件 |
測定方法 |
カドミウム |
検液1Lにつき0.003
mg以下であり、かつ、農用地においては、米1kgにつき0.4mg以下であるこ
と。※ |
環境上の条件のうち、検液中濃度に係るものにあっては、日本工業規格K0102の55.2、55.3又は55.4に定める方法、農用地に係るものにあっては、昭和46年6月農林省令第47号に定める方法 |
トリクロロエチレン |
検液1Lにつき0.01mg以下であること。 |
日本工業規格K0125の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1又は5.5に定める方法 |
※カドミウムに係る環境上の条件のうち検液中濃度に係る値にあっては、汚染土壌が地下水面から離れており、かつ、原状において当該地下水中の濃度が地下水1Lにつき0.003mgを超えていない場合には、検液1Lにつき0.009mgとする。
2.土壌汚染対策法施行規則
法に基づく汚染状態に関する基準の見直し(経過措置あり)
第4次答申の内容を踏まえ、特定有害物質である「カドミウム」及び「トリクロロエチレン」の法に基づく汚染状態に関する基準を見直す。
(別表第二~別表第五関係)
【カドミウム及びその化合物に係る基準】
基準の名称 |
基準(旧) |
基準(新) |
土壌溶出量基準
(別表第4) |
検液1Lにつきカドミウム0.01mg以下であること。 |
検液1Lにつきカドミウム0.003mg以下であること。 |
土壌含有量基準
(別表第5) |
土壌1kgにつきカドミウム150mg以下であること。 |
土壌1kgにつきカドミウム45mg以下であること。 |
地下水基準
(別表第2) |
1Lにつきカドミウム0.01mg以下であること。 |
1Lにつきカドミウム
0.003mg以下であること。 |
第二溶出量基準
(別表第3) |
検液1Lにつきカドミウム0.3mg以下であること。 |
検液1Lにつきカドミウム0.09mg以下であること。 |
【トリクロロエチレンに係る基準】
基準の名称 |
基準(旧) |
基準(新) |
土壌溶出量基準
(別表第4) |
検液1Lにつき0.03mg以下であること。 |
検液1Lにつき0.01mg以下であること。 |
土壌含有量基準
(別表第5) |
- |
- |
地下水基準
(別表第2) |
1Lにつき0.03mg以下であること。 |
1Lにつき0.01mg以下であること。 |
第二溶出量基準
(別表第3) |
検液1Lにつき0.3mg以下であること。 |
検液1Lにつき0.1mg以下であること。 |
法に定める【汚染状態に関する基準】
土壌汚染対策法については、土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして、土壌汚染対策法施行令において、揮発性有機化合物や重金属等の26物質が「特定有害物質」として指定されており、各特定有害物質について、土壌汚染等の有無を判断する基準が定められている(以下参照)。
これらの基準を超えた土壌汚染が見つかった場合には、有害物質等取扱事業者や土地改変者が土壌汚染等対策指針に従って適切な措置を講ずることとなる。
【土壌溶出量基準】有害物質を地下水経由で摂取するリスクの観点から設定された基準。特定有害物質(26物質)全てについて設定されている。土壌に水を加えた場合に溶出する特定有害物質の量に関する基準で、1L中のmg(mg/l)で表す。土壌含有量基準とともに土壌汚染対策法に基づく指定区域の指定に係る基準であり、この基準を超える特定有害物質がひとつでもあると指定区域として指定され、公示される。
【土壌含有量基準】有害物質を含む土壌を直接摂取するリスクの観点から設定された基準。人が直接摂取する可能性のある表層土壌中に高濃度の状態で長期間蓄積し得ると考えられる第二種特定有害物質の9物質について設定されている。土壌溶出量基準とともに土壌汚染対策法に基づく指定区域の指定に係る基準であり、この基準を超える特定有害物質がひとつでもあると、指定区域として指定され、公示される。
【地下水基準】地下水の飲用による人の健康被害を防止するための地下水に含まれる特定有害物質の量に関する基準。
【第二溶出量基準】基準不適合土壌の汚染の除去等の措置の種類を選定する際に使用する基準。
3.地下水に含まれる試料採取等対象物質の量の測定方法を定める件
第4次答申の内容を踏まえ、「カドミウム及びその化合物」の測定方法について、以下のとおり見直す。
特定有害物質の種類 |
測定方法(旧) |
測定方法(新) |
カドミウム及びその化合物 |
日本工業規格K0102の55に定める方法 |
日本工業規格K0102の55.2、55.3又は55.4に定める方法 |
4.土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件
第4次答申の内容を踏まえ、「カドミウム及びその化合物」の測定方法について、以下のとおり見直す。
特定有害物質の種類 |
測定方法(旧) |
測定方法(新) |
カドミウム及びその化合物 |
日本工業規格K0102の55に定める方法 |
日本工業規格K0102の55.2、55.3又は55.4に定める方法 |
【パブリックコメント】2020年1月28日~2月26日
【施行期日】2021年4月1日
※土壌汚染対策法施行規則に関しては経過措置あり。
出典
○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:意見募集中案件」
○環境省「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(第4次答申)」/2020年1月27日
○環境省中央環境審議会土壌農薬部会
パブリックコメント「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく基準等の見直し(案)」
環境基本法, パブリックコメント, 土壌汚染対策法
「土壌の汚染に係る環境基準(土壌環境基準)及び土壌汚染対策法に基づく基準等の見直し(案)」についてパブリックコメントが行われる(2020年1月28日~2月26日)。
2020年1月17日開催「中央環境審議会土壌農薬部会(第37回)」において取りまとめられた「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について(第4次答申)」に基づき、「カドミウム及びその化合物」「トリクロロエチレン」の基準値を見直すもの。
1.土壌の汚染に係る環境基準について
2.土壌汚染対策法施行規則
3.地下水に含まれる試料採取等対象物質の量の測定方法を定める件
4.土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件
●「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しその他法の運用に関し必要な事項について(第4次答申)(令和2年1月・中央環境審議会)
●土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく基準等の見直し(案).pdf
1.土壌の汚染に係る環境基準について
第4次答申の内容を踏まえ、「カドミウム」及び「トリクロロエチレン」の土壌環境基準を見直す。
【旧】土壌の汚染に係る環境基準
※カドミウムに係る環境上の条件のうち検液中濃度に係る値にあっては、汚染土壌が地下水面から離れており、かつ、原状において当該地下水中の濃度が地下水1Lにつき0.01mgを超えていない場合には、検液1Lにつき0.03mgとする。
【新】土壌の汚染に係る環境基準
mg以下であり、かつ、農用地においては、米1kgにつき0.4mg以下であるこ
と。※
※カドミウムに係る環境上の条件のうち検液中濃度に係る値にあっては、汚染土壌が地下水面から離れており、かつ、原状において当該地下水中の濃度が地下水1Lにつき0.003mgを超えていない場合には、検液1Lにつき0.009mgとする。
2.土壌汚染対策法施行規則
第4次答申の内容を踏まえ、特定有害物質である「カドミウム」及び「トリクロロエチレン」の法に基づく汚染状態に関する基準を見直す。
(別表第二~別表第五関係)
【カドミウム及びその化合物に係る基準】
(別表第4)
(別表第5)
(別表第2)
0.003mg以下であること。
(別表第3)
【トリクロロエチレンに係る基準】
(別表第4)
(別表第5)
(別表第2)
(別表第3)
土壌汚染対策法については、土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして、土壌汚染対策法施行令において、揮発性有機化合物や重金属等の26物質が「特定有害物質」として指定されており、各特定有害物質について、土壌汚染等の有無を判断する基準が定められている(以下参照)。
これらの基準を超えた土壌汚染が見つかった場合には、有害物質等取扱事業者や土地改変者が土壌汚染等対策指針に従って適切な措置を講ずることとなる。
【土壌溶出量基準】有害物質を地下水経由で摂取するリスクの観点から設定された基準。特定有害物質(26物質)全てについて設定されている。土壌に水を加えた場合に溶出する特定有害物質の量に関する基準で、1L中のmg(mg/l)で表す。土壌含有量基準とともに土壌汚染対策法に基づく指定区域の指定に係る基準であり、この基準を超える特定有害物質がひとつでもあると指定区域として指定され、公示される。
【土壌含有量基準】有害物質を含む土壌を直接摂取するリスクの観点から設定された基準。人が直接摂取する可能性のある表層土壌中に高濃度の状態で長期間蓄積し得ると考えられる第二種特定有害物質の9物質について設定されている。土壌溶出量基準とともに土壌汚染対策法に基づく指定区域の指定に係る基準であり、この基準を超える特定有害物質がひとつでもあると、指定区域として指定され、公示される。
【地下水基準】地下水の飲用による人の健康被害を防止するための地下水に含まれる特定有害物質の量に関する基準。
【第二溶出量基準】基準不適合土壌の汚染の除去等の措置の種類を選定する際に使用する基準。
3.地下水に含まれる試料採取等対象物質の量の測定方法を定める件
第4次答申の内容を踏まえ、「カドミウム及びその化合物」の測定方法について、以下のとおり見直す。
4.土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件
第4次答申の内容を踏まえ、「カドミウム及びその化合物」の測定方法について、以下のとおり見直す。
【パブリックコメント】2020年1月28日~2月26日
【施行期日】2021年4月1日
※土壌汚染対策法施行規則に関しては経過措置あり。
○電子政府の総合窓口「パブリックコメント:意見募集中案件」
○環境省「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(第4次答申)」/2020年1月27日
○環境省中央環境審議会土壌農薬部会