公表「2018年度PRTRデータ(化学物質の排出量・移動量の集計結果)」

環境省と経済産業省は共同で、化学物質排出・移動量届出(PRTR)制度に基づく化学物質の2018年度の排出量・移動量等のデータの集計結果を公表した。

PRTR制度
1999年7月に公布された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法・化管法)」に基づき、化学物質排出・移動量届出(PRTR:Pollutant Release and Transfer Register)制度が導入された。
PRTR制度の導入により、相当広範な地域の環境において継続して存すると認められ、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれのある化学物質(第一種指定化学物質)について、事業者は環境中へ排出した量(排出量)や廃棄物などとして処理するために事業所の外へ移動させた量(移動量)の届出を行い、国はその集計結果及び推計を行った届出対象外の排出量の集計結果を公表することとなっている。

データのポイント

●平成30年度PRTRデータ(化学物質の排出量・移動量の集計結果)の概要(PDF)
●届出排出量・移動量の経年変化の概要について(PDF)

1.届出排出量・移動量

届出のあった全国の33,669事業所の2018年度の排出量・移動量について集計したところ、排出量は148千トン(対前年度比2.6%の減少)、移動量は243千トン(対前年度比3.1%の増加)、排出量と移動量の合計では391千トン(対前年度比0.8%の増加)となった。

届出排出量の多い上位10物質の合計は、126千トンで、総届出排出量148千トンの85%に当たる。上位5物質は、①トルエン(50千トン)、②キシレン(25千トン)、③エチルベンゼン(15千トン)、④ノルマルーヘキサン(11千トン)、⑤塩化メチル(9.8千トン)だった。

(出典)経済産業省

このうち、2010年度の届出対象物質の見直し(施行令改正)から引き続き継続して届出対象物質として指定された物質(継続物質:276物質)について比較したところ、届出排出量は減少した(届出移動量は増加)。

(出典)経済産業省

2.届出外排出量(国が集計)

届出対象以外の事業所、家庭、自動車等からの排出量は国が推計を行っている。その結果、2018年度に推計対象とした物質(333物質)の届出外排出量は、221,047トン、継続物質のうち推計対象とした物質(214物質)の届出外排出量は199,897トン。

前年度の届出外排出量は238,719トン(うち継続物質217,173トン)だが、推計対象とした物質数は今年度と異なり、さらに産業廃棄物処理施設からの排出量の推計を追加している。

3.前年度と比較した傾向

  • 【届出事業所数】届出事業所数は33,669で微減(前年比△664事業所)、届出事業所数の減少の寄与が最も大きかった業種は燃料小売業(前年比△446事業所)。
  • 【届出排出量】届出排出量が増加した主な業種はパルプ・紙・紙加工品製造業(前年度比+0.81千トン)、下水道業(同+0.20千トン)、その他製造業(同+0.11千トン)。
    一方、届出排出量が減少した主な業種は輸送用機械器具製造業(前年度比△1.3千トン)、非鉄金属製造業(同△1.0千トン)、電気機械器具製造業(同△0.59千トン)。
  • 【届出移動量】届出移動量が増加した主な業種は鉄鋼業(前年度比+3.0千トン)、化学工業(同+2.5千トン)、窯業・土石製品製造業(同+1.6千トン)。一方、届出移動量が減少した主な業種は輸送用機械器具製造業(前年度比△0.75千トン)、電気業(同△0.58千トン)、金属製品製造業(同△0.55千トン)。
  • 【届出外排出量】塗料の出荷量の減少や最新排ガス規制に対応した自動車の割合が増加したこと等により、届出外排出量が減少(2017年度:塗料35,913トン・自動車55,184トン→2018年度:塗料30,054トン・自動車50,625トン)。

出典

○環境省「平成30年度PRTRデータの概要等について-化学物質の排出量・移動量の集計結果等-」/2020年3月19日

○経済産業省「平成30年度PRTRデータを取りまとめました-第一種指定化学物質の排出量・移動量の集計結果等」/2020年3月19日

○nite(製品評価技術基盤機構)「PRTR制度(データの参照と活用)」のページ

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