2019年9月20日、「下水の水質の検定方法等に関する省令の一部を改正する省令」が公布・施行された。
窒素含有量、燐含有量、シアン化合物、フェノール類に係る下水の水質の検定方法の一部が改められた。
背景
- 公共下水道を使用する特定施設を設置する事業場(=特定事業場)は、「下水道法」第12条の12の規定により、自社又は民間の検査機関により、下水の水質を測定し、その結果を記録し保存しなければばならない。
また、水質測定の方法は、「下水の水質の検定方法等に関する省令」に規定する検定の方法により行うこととされている。 - 日本産業規格(JIS K 0102:工場排水試験方法)が2019 年3月20日付けで改正され、環境負荷及び民間事業者等の負担の低減に対応した試験方法が追加された。
- 規格改正を受け、規格に新たに追加された試験方法の一部については、環境省での検証が終わるまでの間は、昭和49年環境庁告示第64号等の改正により、公定法から除くこととされた。また、環境省で独自に検証していた試験方法について、新たに公定法に追加するための改正も併せて行われた。
- 「下水の水質の検定方法等に関する省令」第8条では、水質の検定又は測定方法を定めているが、当該方法については環境庁告示に定める検定方法と整合性を取る必要があることから、所要の改正を行う。
改正の概要
1.窒素含有量の検定方法
窒素含有量に係る検定方法について、環境庁告示では「規格45の備考3」に定める試験方法を除くこととしたため、省令においても同旨の改正を行う。
新 | 旧 |
窒素含有量 規格四十五・一、四十五・二又は四十五・六(規格四十五の備考三を除く。) に該当する方法 | 窒素含有量 規格四十五・一、四十五・二又は四十五・六に該当する方法 |
2.燐含有量の検定方法
燐含有量に係る検定方法について、環境庁告示では「規格46の備考9」に定める試験方法を除くこととしたため、省令においても同旨の改正を行う。
新 | 旧 |
燐含有量 規格四十六・三(規格四十六の備考九を除く。) に該当する方法 | 燐含有量 規格四十六・三に該当する方法 |
3.シアン化合物の検定方法
シアン化合物に係る検定方法について、環境庁告示では「規格38の備考11」に定める試験方法を除くこととし、また、環境省で検証していた流れ分析法を導入することとしたため、省令においても同旨の改正を行う。
新 | 旧 |
シアン化合物 排水基準を定める省令第二条の規定に基づき、シアン化合物に係る検定方法として環境大臣が定める方法 | シアン化合物 規格三十八・一・二及び三十八・二に該当する方法、規格三十八・一・二及び三十八・三に該当する方法又は規格三十八・一・二及び三十八・五に該当する方法 |
4.フェノール類の検定方法
フェノール類に係る検定方法について、環境庁告示では「規格28の備考2及び備考3」に定める試験方法を除くこととし、また、環境省で検証していたくえん酸蒸留4-アミノアンチピリンCFA発色法を導入することとしたため、省令においても同旨の改正を行う。
新 | 旧 |
フェノール類 排水基準を定める省令第二条の規定に基づき、フェノール類含有量に係る検定方法として環境大臣が定める方法 | フェノール類 規格二十八・一に該当する方法 |
スケジュール
【公布・施行】2019年9月20日
※施行日から1年間は、従来の検定方法による検定を可能とする。
出典
○「下水の水質の検定方法等に関する省令の一部改正案について」/令和元年7月8日/国土交通省・環境省